富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2003-02-23

二月二十三日(日)曇。夜半に腹痛ひどく悪寒あり。そりゃ昨日7時間のうち凡そ5時間35km走り2 時間15kmは上り坂歩いていては身体も疲労の限界を越え免疫力まで使い果たした感。沙田で競馬あるが赴けず。R4第二班芝1600mで15倍の上風 Siroccoの単勝的中、R5第二班芝1000mは精英大師3戦3勝、R7精英班芝1200mは時代巨星この2季は15戦8勝2亜2李3負、R8三歳以 上芝2000mの香港G1香港金盃はSize厩の赤胆福星を推したが大きなレースだけ勝つOlympic Wxpressがいつもの馬偉昌じゃなく洗毅力騎乗で一着、R9第一班芝1400mは歩歩速 Able Choice 今季デビューで5戦5勝と強い馬が順当に勝つ。昼遅く湾仔電脳中心にてPalmのCradleなど、湾仔の永華麺家にて雲呑麺、涼茶第一家にて亀苓膏、ア ウトドア屋にて昨日破棄した杖二本購ふ。「大手町」なる日式料理屋、永華麺家の隣に開店、大手町では「美味そうな感じ」がない、八王子とか相模原とか新小 岩といった日式の店々も同様。せめて銚子とか小諸とか安曇野とかならマシなのだが。夕方、泌尿芳しくない愚猫をミッドレベルの病院に連れて行き診察うけ る。晩に北角の老燕京にて涼拌青瓜、肉末四季豆、餃子と小籠包。ジャスコに買物の立寄ればChalonなる名のいわゆるデパート食堂に30人ほどの行列。 そこまでして此処で海老フライ、スパゲッティ、ハンバーグなど盛られたセットメニュー、ソフトクリーム添えとか食べたいか、他人のことでとやかく言うこと でないが、食の不毛地帯の太古城の味覚の貧困ぶり垣間見た思い。そういえば千登勢なるファミレスが潰れていた。卵酒飲んで早めに臥す。
▼『世界』三月号にて元北大教授(教育法)で弁護士の中川 明氏が法律家から見た教育基本法見直しについて述べているのが興味深い。まず「新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい日本人を育成する」という提言につ いて中間報告は「各国において『国家戦略』として教育改革が急速に進行して」おり「このままでは我が国が立ち行かなくなる」で「国内外で進行する大改革の 波に挑み、歴史変動の時代を切り拓いていく日本人を育成することが求められる」としてるが中川氏はこれは「教育が個人人格のためでなく国家のために営まれ ることを意味しており、教育を(略)国家目的の道具に貶めようとすること」に他ならず、これは憲法や「子 どもの権利条約」などの国際基準が採っている個人人格本位主義に相容れないもの、と指摘。また「日本人」という言葉についてこの中間報告のあちこちに出て くるが具体的に「日本人」という言葉の定義も、その範囲も説明はなし。まるで「定義や説明がなくても当然にわかっている言葉だ、とでも言わんばかり」なの だが、実は憲法にはどこにも「日本人」という言葉は出てこず(日本国民という表現は何箇所か出てくるがそれは国籍法によ り範囲もあきらか)、日本に居住する外国人登録者が150万人を越える日本社会は「客観的には諸エスニック集団からなる多文化共生社会」な のである。ちなみになぜ憲法など法律に「日本人」というような表現がないかといえば中川氏の指摘するこの「日本人」という表現の曖昧さと、もう一つは法 律、憲法が目指すのは最終的には普遍法であり、そのためには「日本人」というような「たかだか小さな」範疇で物事を定められない、ということもあろう。ま た「日本人」に加えて「アイデンティティ」という言葉は本来「自分がどこに同一性を感じるかということ」であるから「すぐれて個人の自己形成にかかわるこ と」であるのに集団としての「日本人としてのアイデンティティ」という表現がなされ、その中身として伝統、文化の尊重や国を愛する心が列挙されている。中 川氏は「郷土」は身近にある種の実体的イメージとして把握もできるが「国」は統治権力機構であり、それを同列に並べることの無理を指摘。余も思うに確かに アイデンティティというのは「茨城県民だけどぜんぜん茨城には馴染めず東京にいるとホッとする」というのがアイデンティティのはず、それを「茨城県民とし てのアイデンティティ」という実際には存在し得ないものを無理矢理押し付けようとしているのが今回の教育基本法改悪なのであろう。このような、明らかにレ ベルの低い中間報告がなされ、それを政府は仰々しく掲げ、国民もこのような世紀の改悪にぜんぜん無関心。このツケがどこにまわってくるのかとんと察しても おらず。不幸の極み。
▼同じ『世界』に、在日の人々の一つのやり方として、積極的に日本国籍を取得して、韓国朝鮮系なら国会に議 員を送りだし、その存在を明確にして主張をしてゆくなど、積極的な方法が提示されている。東京都なり選挙区で外国人に選挙権など与えていたら石原当選も阻 止できるかもね。
▼教育といえば国立大入学で文部科学省外国人学校のうち「欧米系のいわゆるインターナショナルスクール」 の卒業生に限り入学資格与え朝鮮学校など民族学校ではこれまで通り認めない、と。朝日が21日に報じ文部大臣は「諸般の事情により」とこの動きを認める発 言。すごい差別。法的根拠もないインターナショナルスクールは良くて民族学校がダメなら「新しい時代を切り拓く心豊かでたくましい日本人を育成する」「日 本人としてのアイデンティティ」の育成に力入れる日本の公立の学校こそ民族学校であって、大学入学の資格ないのでは?(笑)。 ちなみに香港では日本人学校も他の欧米系、アジア系などの学校も香港の教育指導要領など遵守もしていないが一切の差別なく地元校と同じ学校として認められ ている。ここにはつまり教育に対して一切の政治的介入が、ない(加藤周一風に)。日本の教育をしている学 校しか認めないというのが日本の文部科学省の認識であり、インター校だけ認めたのは結局、日本という国家が精神的に自立もしていない証し。情けなくて言葉 もなし。これについて教育の問題が政治的に判断されている、と非難の声もあるが、教育こそ近代国家が最も力を入れる「事業」なのであり、教育が政治的であ るのは当たり前。それも実は大学など学生運動で「国家権力の介入阻止」とか「やっていた」が、実は義務教育こそ国家にとって最も政治的な<装置>なのだろ う。
▼香港の不動産、景気低迷のなか買手を招くため高級化路線著し。九龍の何文田山なるマンションはアールデコを売り物と す。が、ちょっと見づらいがアールデコ風なのだが寝室の寝台の下には虎皮敷かれていたりとか居間の壁に神聖ドイツ帝国皇帝ウィルアム何世みたいな肖像画と か、どこかやはりアールデコではない。アールデコの東洋での真髄は旧朝香宮邸(現東京庭園美術館)だろうが、とにかく無駄なものを削いで削いで、そのうえ で洗練された意匠を効果的に用いるがアールデコなわけで、この何文田山はアールデコ風のロココ調ってな感じ。香港らしいか……。
▼これもダサい、Mahattan Cardなる、かつてはChase Manhattan銀行傘下のかなりのカード保有者誇ったカードにてそれを数年前に香港でのカード業務拡販を狙ったStandard Chartered Bankが買収したが、昨今のカード破算でこのMahattan Cardもご他聞に漏れず大変な大赤字となっている。で、それでも新規カード募集でカードつくると豪華客船での船旅が当る、というわけ。豪華客船とは似合 わないエグい女もヘンだが、左下の男は何者だ?(笑)。いまどき帽子にコートの襟を立ててパイプ、しかも 顔は隠れているがどーみてもその風情似合わぬそのへんのオニイチャン。きっと撮影現場で「ちょっと、キミ、やってよ」と撮影助手が使われたのか。どう見て もヘンな仮装男がオネーチャンを悪戯してしまったみたいな、そんなふうに見えなくもなし。