富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

二月十九日(水)快晴。雨という予報ながら昼前には晴上り肌を刺すほどの陽光。父母とK先生夫妻を連 れて深センに遊ぶ。ホテルより乗ったタクシーにホンハムの站と告げると何処に行くのだ?とタクシーの運転手、深センと知ると5名ならKCRに乗り換えるよ かこのまま落馬洲のボーダーに行ったほうが安いし早いし方便、と。HK$二百数十はちょっと眉唾ものだが老いた身にはそのほうが楽かと朝の渋滞の中、タク シーは東隧道より大老山トンネル抜けて一路落馬洲へ。数週間前に24時間開放となったこの国境、正確には「国」境でなく深セン経済特区香港特別行政区の 区境か、初めて潜ることとなったが一般車両はいったんバスターミナルまで。そこから黄巴に乗換え区境の関所へ。ここにも黄色い法輪功の横断幕あり、中国側 への抗議だろうが香港での法輪功の自由保障されている象徴か、それにしても必要以上に北京政府を刺激することには疑問あり。香港側の関所、大規模な工事中 といふこともあろうがプレハブの建物に湿ったコンクリートの臭いこもり蚊が多く蚊取り線香点てて場末の国境、さながら中国カンボジア国境の如し。香港を出 てまた黄巴に乗り深セン側へ。深セン側の関所のほうがまだ建物こそ近代化されているが入境カードすら置いておらずいったん関門の審査カウンター、本来そこ は通関場所であり通関準備できておらぬ旅人が入ることすらおかしいのだが、そのカウンターに出向いて散乱している入境カードを獲るという劣悪ぶり。両親ら が特区ビザを得るため出入境管理事務所訪れるとポーランドの外交旅券もった男性が中国より香港にいったん出て4日滞在し中国に戻るのに再度ビザの申請を要 求され「7日以内の出境と再入境の場合はre-entry visaは不要とワルシャワの中国大使館で確認した」と熱烈抗議。担当官は「規定だ」の一点張り、ポーランド外交官は「ワルシャワに電話して中国大使館の 担当官に確認しろ!」と宣うが「ここから国際電話できないよなぁ」と担当官は同僚と間抜け話、埒あかず外交官は数名の同行者待たせてビザ申請。羅湖の区境 でのビザ申請かなり効率化され数分で終わるのに比べ此処はまだ共産官僚主義的非能率さ根強く20分ほどかかってビザ発給。ようするに60分に120の仕事 ができるとしたら1つに0.5分しか要らぬが、もし30の仕事しかない場合、30をその効率で済ませてしまった場合15分しかかからず、そうすると人員削 減とか1職員あたりの効率など検討されてしまふので、それを避けるために30の仕事を60分かけて行う、つまり0.5分で終わる仕事を2分つまり4倍かけ てやる、という法則が国境を支配している。26番の路線バスが世界之窗行きとあり、小型タクシーに5名は乗れず2台に分乗しては言葉も解さず、ここから 8kmくらいのはず、と路線バスに乗ったら福田地区を隈無く周遊、福田保税工業区(ここは深センにありながら関税なしで対外貿易ができる)から市場、住宅 地まで見物して40分ほどバスに揺られ目的地はテーマパークの中国民族文化村と錦繍中華であったのだが降り過ごし世界之窗近くに行ってしまい路線バスで戻 る。結局9時すぎにホテル出て3時間かけて到着、ただ両親もK先生夫妻も深センの現地理解を愉しんでくれた様子で安堵。2時間余で錦繍中華をひとまわり。 中国各地の名所旧跡のミニチュア版でそれまで、といへばそれまでだが、中国のさまざまな地方、殆ど行ったことなく一つずつ旅游してみたいもの、とつくづく 想ふ。民族文化村出たところに小さな蘭州拉麺食わす店あり遅めの昼食。刀削麺だの青椒肉絲だのけっこう美味い。店の別嬪で機転きく娘に「この客は韓国人 か?」と訊かれ日本人だと答えると、どうやら娘、余のことを「普通話が標準」で韓国語解す=つまり東北地方の朝鮮族だと思ったらしく、白話パイファが流暢 だ、と賞められこそばゆし。それにしても20年ほど前は朝鮮=北であったのがこの娘にとって朝鮮=韓国、韓国人の観光客が多いのだろう、そういう認識。そ れにしても余が連れる父母とK先生夫妻の4名が日本人か韓国人でよかったが、これが北朝鮮の民であり余が変な日本語解す朝鮮族の同行者であったら、これは 密航企て、だ、洒落にならず。両親らがどんなアトラクションよりも喜んでくれた暴走ミニバスにて深セン駅前。深セン商業城の肉菜超市にて茶葉、胡椒など調 達。この超級市塲の茶葉売場、若い男数名で商いするがちょっとペケ(隠語で不良)のようでいて慇懃、K夫人購った500g160元といふ極上の鉄観音茶、 100g毎小袋に入れるよう依頼し値段貼るステッカーに嘘がないかと見ていたら余の形相が強ばっていたようで「インチキなんかしないよ、安心しな」と 100gの料金を貼ったあとに20g余ずつおまけに入れてくれ、忝し。夕方KCRにて香港に戻る。1等車に乗ったら一人HK$66、5名なら確かにタク シー代よか高くつく。ホテルに戻る。少し時間あり宿泊者装いホテルのフィットネスクラブのサウナに一浴、日本人らしい若者、なんで日本人とわかったかとい うとホテルのサウナにナイロン地の垢擦り持参(笑)、出る時も一緒になったがなんと部屋からスリッパ穿き でバスタオル持参の「温泉の大浴場」モード、一応、香港の4ツ星だか5ツ星の高級ホテル、田舎感の老人ツアーならまだしも若者がこれぢゃ困ったもの。本来 この程度のホテルに泊まるのに必要なはずのマナーであるとか有職故実、それを習得しておらぬのに単に財力だけは宿泊料を払えてしまった結果がこれか。非日 本人の観点からすると、このユタ州のド田舎にもいないような破廉恥な田舎漢の国がどうして世界最先端の小型家電を生産しているのか?がやはり理解できぬこ と。父母ら連れてハッピーバレー競馬場の満貫樓にて競馬観戦しながら晩餐。予想する時間もなかったがこういう日にかぎって適当に賭けている馬が来るもの で、初戦こそ10倍の馬の複勝が惜しくも4着だったが、R6までで単勝3つと連複1つ当てて儲け多し。山頂から夜景楽しみませふと競馬場を後にして山頂 へ。競馬の結果携帯にて確認するとR7にて4番人気の、馬主C氏のDashing Champion見事1着。今季デビューがハッピーバレーの1200mで次戦にて同距離で1着にて初勝、それから沙田に移り苦戦強いられていたが久々の ハッピーバレーにて李格力君もこの馬だとスタートがいいので期待しており、当然「厚く」馬券購入していたがマジに好成績に歓喜。馬場におれずC氏祝福でき なかったことだけが惜しいが仕方ない。かなり儲けさせてもらふ。ピークトラムにて下山しホテル戻り昨晩に続きブランデー一飲して帰宅。