富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十二月十三日(金)快晴。安物買いの銭失いといふ言葉あり。昨日購った中古の8850、8のキーの接 触悪くNokiaのサービスセンタに持ち込むが係員曰く中身本物ながらキーパッド、外殻など模造品にて改装、と。摸造でもよいか外殻の微妙な精度の悪さに より中身安定せず接触不良などあり外殻まで正貨に換えるとコスト高、新品が買える、と。昨日の深水歩の店に持ち込むと他の中古品と取り替えるがどれもこれ もイマイチ外殻が不良にて容易に電池筐の蓋が開いたりズレたり。とにかくまだマシな品と取り替える。この8850、すでに古典的携帯にて新品の行貨(香港 正貨)は市場になく辛うじて水貨(並行輸入)の新品扱う店あり。それで見てみると確かに改造中古とはツキとスッポンにてこの水貨の8850購い改造中古を 「二手携帯買い取ります」の店に持ち込むと買値の約8割で引き取るといふ。簡単に外殻を開けて中のパーツをチェック。外見はかなりきれいだが中の基盤など かなり痛んでおりかなり勉強になる。月本裕氏夫妻来港、まずは一飲と、明後日の国際レース、Pressの宿泊となるRenaissance Harbour ViewよりGrand Hyatt Hotelに向うとこちらが馬主、VIPらの宿泊になっているらしく香港会議展覧中心にて開催されるジョッキークラブ主催の新馬の競り、招待晩餐に出席す るであろう黒タイにヂャケツの日本人競馬関係者らGrand Hyattより出て参る。Grand HyattのロビーにDettori騎手。この人に遇うといふのはもはや拝むといふ感じ。団十郎の舞台を見て「今年は正月から団十郎に睨んでもらったから 風邪をひかないよ」みたいな。何かいいことがありそうな、ただし昨年もこの時期にハッピーバレー競馬場の前にてDettori騎手の尊顔を拝しサインまで もらったが余の国際レース日の結果は惨憺たるもの。月本夫妻とGrand Hyattのchampagne barにて一飲。話題は競馬に限らず日本の社会主義状況、歌舞伎、落語から米国の覇権主義まで。志ん朝の死が早すぎて芸人といふのは雀右衛門の80の円熟 のように長寿全うせねばならぬこと、今月歌舞伎座での三島の椿説弓張月のこと、携帯電話はGSMが世界を圧巻するがこれは欧州主義でありそれに対して CDMAというシステムは米国覇権でありこれに呼応する国が日本、韓国、台湾といふのがいかに米国主導の軍事同盟か、とか。話題尽きることなし。啓発され ること限りなし。barを出ようとして騎手仲間と酌するDettoriに再び邂逅。夫妻と銅鑼湾に出てLeighton Stにある香港ゾロアスター教会の持ちビルを見学。杭州飯店。上海大閘蝦、龍井蝦仁、東玻肉など。紹興酒、二つの盃にて試飲勧められかなりコクのある加米 酒にするがこれが絶妙にて夫妻と三人で三燗。金鐘に向いZ嬢合流。Island Shangri-laの最上階のバーに行くが貸しきり、Conrad HotelのPacific Bar。ギネス、テトリー酌しCohibaの葉巻。月刊ハロン編集長のS氏夫妻合流。S氏の尽力などあり新加坡に開倉された高岡秀行調教師の話な ど聞く。日本のこの20年、30年の経済投資のなかで全てが崩壊している中、確実に投資が実を結び今後100年の大計たらむとするのは競馬だけか、と月本 氏と話す。19世紀末にアイルランドにかなりの好景気あり、その時に優秀なる馬がかなりアイルランドに輸入されそれの後継が今日のアイルランドの産駒体制 となっていたり、葡萄牙が350年前に終わった覇権の後遺により今日も存続しているように、伊太利、中国なども同様、そういった数世紀、千年紀に至るまで の大計あるが立派にて、日本のわずか20世紀後半の半世紀、明治からみても百年の繁盛は形に残るシステムはなく、せいぜいメーカーの技術、それに比べれば 競馬馬は投資額上昇により馬の価格が高騰しすぎて海外に卸せないことだけは問題だが世界水準の粋として今後安定した生産が続くか、と。月本夫妻も今日は朝 早く日本を発ちS氏もともども明朝のギャロップ参観もありにてこの面子にしてはかなり早い23時すぎにお開きとなる。