富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月八日(火)暑すぎず寒からず乾燥せし風そよぐ心地よき晴天な り。昨日Netscape7.0導入せしものの日本語にての作文には少なからず難あり文書作成ソフトなどから文章写せば意味不明の文字化けあり文字コード など変換試みるも解消せず文字色すら不安定にて一瞬Windowsへの乗換えなど頭を過るが微軟社の戦略のなかでもIEの寡占化殊更問題多く(参照) 94年だったかイリノイ大学のNCSAよりMOSAIC入 手せし頃からの畏友M君の勧めにてNetscapeのうちComposerとしての最高傑作であるNetscape Communicator4.8(昨 日まで4.6を使用)を入手。Netscapeもはやビデオ界のソニーのベータの如く風前の灯なれど世界各地に微軟社の寡占化に屈せずNetscapeの 美しさを守る方たちも多し(参照)。実 家より岩波書店より出版されたる荷風先生『斷腸亭日剩』全七巻、ウォッカStarka二本、徳岡神泉「笹百合」(京扇堂)と奥田元宋富嶽青松」の扇子 (いずれも朝日新聞の頒布による)を小包にて受領。日頃読み続ける荷風先生の日記は東都書房刊の永井荷風日記にて先生ご存命の折出版せしものにて私件色事 など省かれたるものにてやはり斷腸亭日剩読むべきと昨今岩波より出版され入手。丁寧に表紙張られた箱入りながら小包み粗く扱われ濡れた床にでも置かれたか 箱の角など傷み残念極まりなく天気好きことを幸いに涼風ぬける日陰にて曝書し糊の剥がれた箇所など繕ふ。薄暮ジム。独りSupersandwichにて マーガリン、マヨネーズ、鹽すら省きたる鳥肉と野菜の練り物の三文治と野菜ジュース。拳闘の選手の如し。宮本輝道頓堀川』少し読む。若き 頃になぜか宮本輝庄司薫であるとか三田誠広と同じような作家と誤解し読まず。今になって読むが、単純に好きだ。普通の喜怒哀楽。初期の森川信の出演していた頃の「男はつらい よ」とか、向田邦子とか、小林桂樹のドラマのような世界。喫茶店リバーのマスター武内のリバー開店までの筋に思わず涕涙の感あり。三更にMosaicダウ ンロードすれば94年の当時モデムでのダウンロードに小一時間はかかっていた(もっとか?)ものがわずか数秒にて唖然、今ではJavaなどスクリプト開発 されMozaicにてそのまま清覧できるサイトも少なきものの懐かしき世界。
PCCWの株価ついにHK$1を下回る。かつての香港テレコム、英国通 信大手Cable&Wirelss傘下を経て李 嘉誠の次男Richard(品 川あたりの再開発にも係わる若手実業家なり)がPacific Centuryに買収されPCCWとなり折からのネットワーク事業バブルにて、当時、光通信など持て囃され、この Richardとお互い株も持ちつ持たれつ買いつ買われつ今太閤、株価HK$20を越えていたものが通信事業のグローバル化と社名より香港の冠を外したが 運の尽き、ネットワークバブル崩壊し不況相乗し最高値から今日までの下落幅は実に97%、恒生指数構成したる藍股(Blue Chip)のうち唯一の角股(10¢単位株)となる無惨。
▼昨日の信報にて劉健威、「私家菜」つまり無許可営業レストランについて 曰く、自らも私家菜では老舗となった黄色門(Yellow Gate)の経営者ながら、週刊誌いくつか私家菜の特集組むにあたり、不況の最中街中のレストランが倒産の憂き目を見るなかで私家菜かなり繁盛しどの店も 予約は数週先まで及んだのも束の間、今ではかつての予約帖頼りに客に電話で来店を誘うほどにまで冷え込み、本来は料理好きの主人が趣味が高じて名の通りの 私家菜(手料理)を客に振る舞ったものが脚光浴び豪華な内装だの鮑魚翅の類を供し卓数千ドルという高級な店から海景一望のマンションなどまで高揚し、かつ て私家菜が通の間でウケたのは無免許であり隠れて営業し、事情通が口コミにてそういったヤミを食すことにちょっとした興奮があったもので、もはやその趣き なし、と。劉健威とて黄色門の老板としてさんざんマスコミに登場し他人を揶揄できる立場に非ずとはいえ、さすが私家菜について述べれば高説の通り。とうと う私家菜には蘭桂坊の周Mamaにて晝に坦々麺食したこと一度あるのみにて流行り廃る。