富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月二十一日(土)曇空。晝まで自宅にて曝書など雑用。少し走ろうかと外出すれば好天となりMt Parker Rd上り大譚のダムへと下り淺水湾の峠まで走る。海岸に降りようかとも思いつつ淺水湾の峠までの引水路は同じ標高にてさらに黄泥涌まで平坦に続きそれを走り黄泥涌よりSir Cecil's Ride、Mt Parker Rdに戻るが更に康柏郊遊徑なる山道歩く。五時間余、25〜30kmほどか。中秋なり。日暮れても雲に隠れて月は見えず。Z嬢とMt Parker Rdに月見に上ると雲の合間より月は顔を見せしものの月見の衆少なからずSir Cecil's Rideまで上ればさすがに我らのみ。滝の横で朧げな月眺める。山々のところどころに中秋の蝋燭など灯す明かり漂う。節句はやはり旧暦が当然にて八月十五日に新暦にてお盆を済ませ九月に中秋だと月見する日本は異様。中秋の名月のもと明かりを灯し先祖の霊戻ってくるを一晩明かして迎えるが筋。冷したまま持参したビールを一飲。Mt Parker Rd下るに擦違ふ衆は手に手に超級市塲の袋提げ中身は当然の如く大量の香港式照焼BBQの材料。野蛮なる衆のあの食べ散らかしが山に散乱するかと思うと悪夢なり。ゴミのポイ捨てHK$600の罰金刑施行される香港であれば中秋の晩こそ山や海にてゴミ放置を検挙し政府収入増やすべき。それよかあの美味くもなき香港式照焼きBBQを条例にて禁止すべし。Quarry Bayの海防道に至るが中秋にて飯屋の類すべて店終い一軒だけ看板が灯るは中秋も関係なき印度料理屋Mather India Restaurantにて雑居ビルの奥のこじんまりとした店ながら盛況。味もいたって秀逸。チャイもお見事。深夜一時に満身の力こめて叩いた大太鼓の如き一鳴の雷。それから激しい雷雨となりMt Parker Rdを眺めれば雷に怯え雨に濡れ一目散に坂を下る衆。広重の五十三次は庄野の如し。ふだんでも汚されたままのBBQサイト、この緊急避難にて衆が片づける筈もなく残骸の醜悪は想像に易く明日より数日は山に入るべきでなし。