富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月十五日(月)快晴。照りつける強烈なる陽射しと香港にしては70%とかなり乾きもし、日陰に入れば風もありまるで豪州パースの夏の如し。この季節香港を襲う台風は二つとも日本に向う。昼食少なくジムへの道すがら灣仔の歩道橋の下にて小販の焼売を下品に立ち食い。かういふ姿は人に見られたくなし。ジム。帰宅して長野県知事失職のニュース観ようとNHKワールドにてニュース10観るが台風報道続く。内容はといへば必要最小限の台風情報や被害、今後の予想される災害注意だけでいいものを一時間ほど前に10分ほど殴りつけるような雨が降った「だけ」の高知やたかだか風速15mで豪雨ともいえぬ中村市、降水量4mmの某市だとか無駄な各地からの中継相次ぎ「お年寄や子供のいる家庭は避難が必要な場合は余裕をもって」だの神妙な表情で「今度の台風七号では土砂崩れが多く発生する予想がなされ」などと土砂崩れなど台風では当たり前のことをマコトシヤカに宣うコメントに唖然。香港であれば台風が接近すれば学校は休みとなり直撃してくれば数時間前に自動的に学校ばかりか証券取引まで中止され自宅待機態勢となり(集中豪雨の場合も同様の規制あり)、報道も現場中継と台風情報のみであっさり。大雨強風のなか小学生が学校から下校する姿、帰宅時に背広をびしょびしょにしてバスを待つサラリーマンをテレビで観るだけで実際の災害危機管理などできておらぬ日本の貧しさを感じざるを得ず。神妙な顔で「心配です」「十分な警戒が必要です」「今後の対策が」とくりかえすばかりで河川の堤防改善程度がなされるだけで実際には根本的な「姿勢」「哲学」が何ら改善されぬ社会。放送始まり36分目にして台風以外のニュースに移り長野県知事失職。
▼事実の映像ほど超空想的なるものなく日本が豪州にて飛ばした次世代の超音速航空機、事前の報道では関係者が「ロケットからうまく分離し、水平飛行を経てパラシュートによる回収ができれば、第1段階は成功でしょう」と宣うがロケットで打ち上げた実験機が発射直後に外れ、ロケットは10数秒後に砂漠に墜落して爆発しロケットがまるで苦痛にのたうち回るが如く墜落していく砂漠を一匹のカンガルーがぴょんぴょんと跳ねて走り去る映像に目から鱗が落ちる思ひ。カンガルーなのがまことに好し。新聞休刊日にてasahi.comを見るが第一段階どころかロケットが発射段階で外れるという珍事に思わず「おくやみ」欄を捜してしまふ(笑)。実験機は1機約10億円で、ロケットは1機約1億5000万円。国費の無駄といふ気もしつつ国民一人あたり10円と思えば「あの」画像10円分は充分に楽しませていただけたかと納得。それに比べモスクワに建造中の日本大使館は国民一人当たり100円を拠出せしものの国民を楽しませる見返り皆無にてまことに無駄な出費。
▼有線電視のテレビCMにて幼児使いCMの最後で全裸の幼児が走りぬける場面にて幼児の性器にモザイク修正あり。猥褻かぎりなし。幼児を視ることにて性欲掻き立てられる者が存在することは否定できず。成人の裸を視てムラムラすることと比べ何ら僻見は出来ず。問題は大人が大人である「権力を利用し」子供を自らの性欲の対象とし子供が大人に対抗しうるだけの力がないためにそれを強いられ犠牲となること「だけ」であり、寧ろ性器をモザイク修正した幼児の裸こそ猥褻なる眼差しの象徴にて、善良なつもりのバカな制作者側が防止したはずの異常者の欲情を煽るものなり。偽善が実は犯罪を助長する格好の例。そこまでするのなら全裸の幼児を使わぬこと。人類は善良ぶるが日々間違いなくバカになっている。
▼『信報』に日本の英語水準の低落を憂ふ論説記事あり。アジア最大の経済大国でありながらTOEFLの成績にては中国韓国にははるかに及ばずアフガニスタン北朝鮮にも抜かれたほど(勿論、猫も杓子もTOEFL受験できる日本と国家の威信をかけた学生が選抜される国体との違いこそあろうが)、"Non stop fright"や"For restrooms, go back toward your behind."なる不可思議な英語が通用する現実(ちなみに"Non stop fright"は直訳すれば「驚愕終わることなし」であり"Non-stop flight"が正しく、後者は訳せば「便所はテメーのケツのあたりに在り」で例として"For restrooms walk toward the rear"などが正し)。日本は閉鎖社会から脱却できるかどうかが日本経済復興の鍵でありながら英語の低水準でどうしていくのか、と、文藝春秋から見ると「不信感しかもてぬ」シナ人に言われいったいどうするのか日本(嗤)。