富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月十日(水)晴。ContaxのG1の修理上がり牛頭角の京セラ。観塘の工場街に光化学スモッグの如き目にちかちかと太陽は黄色くウルトラセブンに現れた街のやう。馬頭圍の教育署課程発展処。ジム。ファインダーが毀れる直前にG1にて撮った写真出来上がる。試写で敢えて明るさのバランス悪き場所、夜景、炎天下のアーケードなど撮るがレンズは当然として露出の良さに感心。G1のBiogon T*28mm/F2.8のレンズ入手。Planar T*45mm/F2がG1入手時の付属にてこれにて2つ。あとはHologon T*16mm/F8だろうがこれ(280,000円!)は必要あるまひ。
文藝春秋にて100頁の総力特集が中国不信(笑)。呆れてモノも言えず。目糞鼻糞を嗤うとはまさにこれ。中国の悪口なら宣長の時代から枚挙に暇もなかろうが中国不信を宣ふあなた方とていったい何様か。文藝春秋もこんな特集するようではあの世の菊池寛も茫然か。
▼作る作品全てが「よくわからず」今回はまともかと思えばエンディングで必ず「わけのわからぬ仕上げ」をする映画監督・王家衛、『信報』の報道によれば香港島南区の壽臣山の翠峰園舊居をHK$1,600萬にて落札と。まか不思議なることは王家衛の作品、阿飛正傳、重慶森林、堕落天使、春光乍洩、花樣年華と話題にこそなれ「よくわからぬ」演出にて興行は莫大なる収入を得るものに非ず、度重なる脚本の変更にて撮影期間も製作費に嵩み新作2046にては芸人木村拓哉君撮影期間の延長と変更に怒り出演取消しすなどあり王家衛が如何に莫大な収入を得るのか理解できず。
▼9*11の惨事の直後大江健三郎君畏友サイード君並びにチョムスキー君の名を挙げサイード君に依る言説には多く接したれどチョムスキー君執筆せし文に余は偶々当たらず。昨日『信報』にて林行止專欄チョムスキー君の『9-11』取り上げる。欧米にWestern State Terrorismあり。911の元凶を成敗すにあたり普段は法治を掲げる米国が911より僅か十日で制裁軍備整え国連安保理事会の批准得ぬまま少数の同盟国とともにアフガンを討ち元凶の捕縛も確かにできぬまま無実なる市民数千名を爆撃にて殺す。9*11は米国市民の命を奪う悲劇ながら米国が為しアメリカ原住民虐殺、墨西哥夏夷比律賓侵略、越南戦争から南米の左派政権壊滅といつた行為に比べれば9*11は厳重といふには遠し。文明の衝突などといふが欧米の近代主義イスラムが収受せぬだけで敵と見做しカタールの放送局が親米なるアラビア領袖の贈賄を報道すれば言論を弾圧し、とどのつまり経済利益並びに協力なる軍事を後盾にせし自由と民主を宣ふばかり。林行止曰く香港には世界の情報集まり言論の自由あるが故にこの反テロの現況にて西側主流メディアの誤報に惑わせることなく真実を見据えるべし、と。
民主党党首李柱銘君昨日のSouth China Morning Post紙に"Subverting a winning system" なる一文を寄す。
香港政府反テロ法の立法に躍起ながら争点となるは香港基本法第23条は下記の通り。
The Hong Kong Special Administrative Region shall enact laws on its own to prohibits any act of treason, secession, sedition, subversion against the Central Peopleユs Government, or theft of state secrets, to prohibit foreign political organizations or bodies from conducting political activities in the Region, and to prohibit political organizations or bodies of the Region from establishing ties with foreign political organizations or bodies.
香港特別行政区は反逆、国家分裂、反乱扇動、中央人民政府転覆、国家機密窃取のいかなる行為をも禁止し、外国の政治組織または団体の香港特別行政区における政治活動を禁止し、香港特別行政区の政治的組織または団体の、外国の政治的組織または団体との関係樹立を禁止する法律を自ら制定しなければならない。
本来この条項は天安門絡みの民主化、台湾、香港独立(笑)といつた行為に対する歯止めの筈が法輪功なる「邪教」出現せしが香港にては静座にて瞑想するだけの宗教団体にて一切の法的拘束受けず。香港政府この第23条に則り反テロ法制定を画策せしが李銘柱曰くは下記の通り。
香港は本当に反テロ法が必要ありかなしか。特区法制定については88年草案にて22条に「香港特区は国家統一及び中央政府転覆を図るいかなる行為も法により禁じられる」とあつたものがこれが中英合意が保障した香港の自由に抵触すると当時香港の媒体、法界、議員及び基本法制定コミッティの強い反発あり89年に23条となり草案は「香港特別行政区は反逆、国家分裂、反乱扇動、国家機密窃取の行為を禁止する法律を自ら制定しなければならない」とし、この条文にて最も重要な点は「自ら制定」という一文を得たことなり。が同年天安門事件あり基本法制定は暗礁に乗り上げ翌90年天安門事件より10ヶ月を経て最終案まとまれば反政府活動の高揚を恐れた中央政府は同項に「中央人民政府転覆」及び海外に散乱した反国家分子並びに組織の香港を拠点にせし反政府活動を制限する目的から現行の条文に、す。この経緯にて李が強調すべきことは、まず89年初に中央政府自ら香港特区に対し「国家統一及び中央政府転覆を図るいかなる行為も法により禁じる」必要がなきこと判断したのであり、第二に最終的に「自ら制定」なる点が生き残りしこと。つまり香港自らが本当にこの第23条に基づく立法の必要性の有無を検討すること可なり。律政司梁愛詩は「香港の現行法にて第23条を述べる点をすでに部分的にカバーされており強いていへば国家分裂、反乱扇動についての法制化のみ必要」といふが本当にそれが必要かどうか。現実としてこの返還からの五年、香港はこの法なき不便を能わず、香港ばかりか台湾、西蔵の独立を宣うものもなき(そうか?)政治的安定を誇り民主党かてOne China政策を提唱し台湾の平和的統一を唱ふ。法輪功も「香港にあっては」平和裏に静座瞑想を続ける宗教団体にすぎぬ。かのやふな現状にあって反テロ法が香港に必要は非ず。国際社会注目のなか香港の一国両制の成功を図るにはこういったその基礎を壊す行為は不要。
……と李柱銘。香港を代表する弁護士にて天安門事件までは自ら基本法制定コミッティの主要メンバーとして基本法制定に係った李氏故に説得力ある論調なり。それにしても李君、South China Morning Post紙に載せても誰も読まず。読むは漢字文盲の<関係者以外>に他ならず(笑)。前政務司司長・Anson陳安生女史引退より満を持し返還五周年にあたり英国Financial Timesに寄稿せしは一世一代ゆえに注目されしが。
法輪功といへば<世界>への劇的なるデビューは数年前北京中南海を信者の輪にて取り囲みし<事件>にて政府が全く予知せぬうちに数万人の信者を全国から集め首都中心に集結させあっという間に「平和裏に」中南海(党幹部居住執務の地)を取り囲みメンツ丸潰れの北京中央は法輪功を邪教とし信者を拘束し補導中心にて「真当に改宗」させてるが、「中国側の報道によると」先日は国営CCTV衛星放送に乱入した、と。もともとは静座瞑想するだけが中国政府が信教に介入したことで自らの信心を妨げる政府への抗議であろうが「世界最大の邪教」と呼ぶ人もいる(私じゃない、ぞ)中国共産党を恐れぬとはすごい(汗)。
李嘉誠君傘下のtom.com使い亜視お買い上げ。北京政府の覚え宜しき李君の傘下にてさして面白くもなきもののたまに政府揶揄する程度がミソであつた亜視もこれにて陥落。巨大資本によるマスコミ独占によりもはや自由なる言論は書インターネットのみか。巨大資本といえば香港ディズニーランド、だいたいにして香港政府のサイトにこの頁があることじたい癒着であるが土地造成からして香港政府が賄ふばかりか香港ディズニーへの鉄道支線建設もHK$8億をもってMTRが建設に当たる。そもそも上海と香港がディズニー誘致を争い香港が買った条件がインフラ整備の全額誘致側負担にてアメリカ帝国主義の阿呆文化流入のために身銭をきるとは呆れたもの。