富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月八日(水)快晴。ジム。天気好く朝水泳。ツアーにて市内観光せし母たちが昼に尖沙咀の映月樓にて食事終わった時間見計らひ再会。日本人ツアーの定番の飲茶にて初めて店に入る。母たちと芸術館にて中国を代表する現代画家・呉冠中の特別展参観。創造とはかういふことなのかと唯々敬服するおもひにて一枚一枚の絵に接す。何よりも水の流れの辺の建築物の風景は見事。母投宿せしMandarin Oriental Hotel楼上の室内游泳池にて独り泳ぐ。平泳ぎにて三度水掻けば対岸に着くほどの狭き游泳池ながら深さだけはホテルの楼上にて2.5mと立派にて爽快感極まる。天井からは淡い光溢れ我の泳ぐ水音以外何もなき静寂。銅鑼湾にて先日仕立てた背広縫い目吊っており調整依頼。晩に母たち連れ快活谷競馬場のB801ボックス席にて晩餐競馬。母にいきなりR2にて12倍の単勝と連複当てられる。夜遅く母とZ嬢とホテルの樓上のVongのバー。▼信報『林行止専欄』昨日の警察による旺角淫売産業一斉検挙「火百合Fire Lily」作戦にて二百十三名の売春婦並びに関係者検挙され年間売上げ二億四千萬元に及ぶといふこの産業の八千六百萬元の資産凍結されし事受け林行止社主の健筆冴え渡り曰く、経済学者が淫売業見れば淫売の特徴は「低き技術労力とそれに反比例せし高き収入」にてつまり「娼妓の収入とその技術水準が相反」する事(これは経済学的見地にて娼妓にしてみれば過酷な労働にて秘技おフェラの巧みさなど技術力も並大抵でなしといった反論もあらうが……笑。つまり「道徳観念を除けば」性行為なる本能に基づく生殖行為を生業にするに淫売は誰にでも出来る非専門職といふことか)。淫売には三つの特徴あり、その一つは娼妓の収入がホワイトカラーのそれに勝りながらその工作の技術要求が低かれど収入多く是経済原則に反すること。またこの「低き技術にて高収入」は大抵「リスク高き生業」にて(偽物CD、腕時計売りもこの類か……)これは淫売にも言えることながら(イスラム原理主義の国家は当然のことながら淫売を厳禁し娼妓は石を投げられ毀死するはこれに該当する)しかし淫売合法の国家(つまり淫売にリスクなし)にても娼妓の収入高く、つまり一概に淫売「リスク高き生業」とも言えず。二つ目の特徴は男妓の収入女妓の収入に比べ低きこと。この原因は「女妓には<婚姻市場にて女性が得られる保障>が市場(つまり社会)になきこと」なり。つまり女妓は通常家庭主婦を同時にできず(夫に隠れて三々五々淫売をせし主婦あれどもこれは「夫からの乖離」なるアバンチュールにて生業には非ず、か……笑)言い換えれば専業主婦にはパートなる利権あれど「兼業醜業」には就業できぬこと。それ故に女妓になることにて捨てねばならぬ福利多きがため女妓の見返り(収入)高くなるが当然と。視点中国に移せば一人っ子政策により極端に男性多く女性少なき社会構成たる中国は淫売必盛にてWHOの調査によれば人口千三百万人の北京に娼妓三十万人おりこれは独逸の同比率の二倍。また一夫多妻制と淫売は両立せず社会が倫理として一夫一婦制を維持しようとする限り淫売業がその調整剤として作用したり。お見事な分析に敬服。