富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月二日(木)。『週刊香港』の記事にて最後の最後にてKennedy Townについて述べた箇所あり読者謝先生よりの指摘にて堅尼地域と綴られている誤記あり、と。恥ずかしながら香港に住んで十二年今日の今日まで堅尼地城と誤解続けし事実発覚す。不思議なことにタクシーに乗れば運転手に広東語では「ぎんねいでいしん」と堅尼地城と伝えており漢字の意匠として十二年否恐らく初めて香港を訪れトラムに乗りし二十年前にトラム行き先表示を堅尼地域と読みそれ以来の誤解か含羞痛み入る。恐らくTownが城であるものを地域をTownと捉えたのか。三月二日に参加せし緑色力量環島行五十公里慈善行山比賽の記録届き六時間五十七分の時計にて成人男子七百五十名参加六百三十名完歩中五十八位といふ成績であったことを知る。上位一割に入るとは幼きおり郷里の持久走にて水戸泉君(勿論当時はまだ小学六年にて水戸泉関は水戸泉なる名前ではなかったが……笑)よりも遅かった運動苦手ぶりをおもえば我ながらこの成績は感涙のおもひ。晩に太古城にて藪用あり太古城に食処なく閉口しておったところ先週土曜日にK氏の車にてWestlands Rd華蘭道を通りQuarry Bayも海光街まで行かずともこの界隈に食処並ぶこと知りふとその一軒、九記なる快餐飯店が眼中に入り今晩此処を訪れる。惠安苑が地下に七、八軒ある食処のうち直感にて三軒除けばおそらく不味くはなきところ殊に九記は粗呆地区は伊利近街の貴如、すでに廃業せし堅道は海燕飯店と同じ環境漂わせ例しに滑豆腐(蒸し玉子)食せば味つけ忘れたのかと誤解するほど淡い味付けに椎茸、豚といった食材の香り蒸豆腐に沁み入り誠に結構なお味。見事。太古城にて今後飢死することなし。▼昨日淺水湾にてやけに大陸からの旅行団周遊せし観光巴士多しと思えば労働節の大型連休にて香港訪れし旅行団実に二百組四万人が昨日羅湖より香港入りしHK$二億消費、と。一人当りHK$5,000の消費とはかつての日本人の如し。しかも日本人尖沙咀に数ある悪徳「免税」店にて日本製家電カメラなど購わぬところ大陸からの客は家電貴金属よきカモとか。▼カソリック教会が対少年のお戯れ香港もご他聞に漏れず南華早報伝えるところに依れば過去二十七年に三件の醜聞をば教会側把握したりて香港大司教も認めたるはお戯れせし神父官憲への通報もなきまま教会法に則り罷免或は少年に携らぬ部署への転出などの措置がなされたり。最も聖なるべき領域が性の而も教会に係わる少年への性「犯罪」の温床とは「聖なるものこそ最も穢るる」真理を物語る。▼政治は言うに及ばず宗教がこれなら財界も財界にてマスコミも芸人の醜聞では今更読者も喜ばぬからか財界にその食指動き今度は東亜銀行社主にて頭取の李國寶が六旬にて同業廖創興銀行の社主廖家の娘某と不倫と報ず。この不倫可笑しきは李某の本妻は藩家の出にて、李家が東亜銀行の社主にて李某の弟は香港中文大学の学長、親戚筋には香港司法の大法官もおり香港賽馬會の首席も一族。藩氏も当主は香港小売業にてRolexからPolo、香港西武まで牛耳るDickson Poon氏にてこの某女は彼が妹。李某は立法會議員でありながらその議会を抜け出し廖某の待つホテルに「行宮」し巴里での密会旅行までマスコミに曝される。李家、廖家、藩家と香港財界の華麗なる一族私怨絡まりたる醜聞は(李嘉誠はたかだか一代の新興財閥にて余波及ばず)係わらぬはマカノ博打王Stanley何氏の何家くらいのものなりしが何家といえば何家一族内での数十年前の従兄妹恋愛も半年ほど前に暴露されており一族内にて財産争いにまで絡む始末。宗教、政治、経済、芸能……いつの世もまさに狂ふばかりなりけり。