富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月二十七日(土)曇。午前中Z嬢とともに藪用ありQuarry Bayにて用解かれ英皇道985聖羅蘭にて肉饅頭購い歩き食い、数日前発見し麗江邨にて麻婆豆腐と回鍋肉の定食。風邪気味にて帰宅し沙田の競馬テレビ中継みつつ少し賭け、積もりたる新聞雑誌を読む。『東京人』四月号の特集にて東京の居酒屋、十数年前に市ケ谷にてアジ研某氏と酌坏せし店が嘉多蔵ということを知り新宿の池林坊を懐かしむ。恵比寿のさいきの女将さん他界せしことも知る。さいきは和亭に次いで恵比寿にて頻繁に通った居酒屋。亀井俊介『ニューヨーク』(岩波新書)読む。好くも悪くも通り一辺倒のマンハッタン案内。荷風日記ようやく第二巻読了。昭和四年二月三日に「何某宮葬儀の當日にて遏密の令あり」と記しつつその日の日記末で「此夜節分なれば四隣の妓家豆をまきて賑やかなり」と結びたるは可笑。同月十一日に電車にて丸の内を過ぎるところで日本魂或は忠君愛国など書きたる布片を襷がけになしたる青年たちの紀元節にて宮城に拝する行列に遭遇し曰く「近年此の種類の示威運動大いに流行す」「外見は国家主義旺盛を極るが如くは思はるるなれど実は欲て邦家の基礎日に日に危くなれることを示すものなるべし」「何事に限らず外見を飾りて殊更に気勢を張るやうになりては事は既に末なり」と。今日の九段周辺にも言えることなり。サリンジャー『フラニー/ズーイー』読み始める。原田敬一訳見事。