四月一日(月)晴。今年初めてドリアン食す。三月末でかなり熟れた匂いがあり今年はかなり美味いと察していたがここ数年ではかなり当り年。96年の豊作良質には劣るがかなりの好い出来。昼前に香港映画祭にて台湾の『人生喜劇』(鴻鴻/2001)観る。詩人にて劇作家の鴻鴻の二本目に映画にて台北のちょっとした市民生活の断片を4つの物語に仕立てたオムニバス映画。梁朝偉に狂う靴屋の店員の女の子、ゴキブリから逃げるためマイホームを手にいれようと奔走する夫婦、それにかかわった不動産屋が別れた妻が入院した公立病院での一晩の癪的な恐怖、小さな劇団の物語。どこかで彼らが接しまた離れていく、それぞれの物語というには物語性のない生活を淡々と描く。未だ台湾では公開予定なしの作品。昼に中環はJubilee Stの金華焼臘にて白切鶏飯、この店の焼臘かなり美味いが平日は附近のサラリーマンの昼食で混雑し祝日でもなければ昼にゆっくり食せず。この店の例湯も焼臘では旺角の新旺記と並ぶ美味さ。普通なら何を入れてもいい例湯には珍しくこの店はレシピが掲げられ食材は落花生、眉豆、猪○、鶏脚、冬菰の5品と決まっているそうな。午後帰宅して週刊香港の記事を呻吟。ある遺物の撮影を兼ねてZ嬢とHatton Rdまで夕方散歩する。午後からようやく陽がさす。▼財務司司長のAnthony梁錦松が先月の2002年予算報告にて70年代のまだ香港が経済的に苦しかった時代のことを思いだせば、と当時の給水制限で配水車からの水を求めて長蛇の列にバケツを持ってならんだ自分のことなど披露し、今の苦しさなど生活が満たされた上での苦しみ、と述べ、その際に70年代当時テレビで放映された『獅子山下』(獅子山の麓で)なる番組の苦しみを乗り越えていく主題歌を引合いに出したことで早速「獅子山下」が再び脚光を浴び本日から亜州電視の本港台にて再放映始まる。珍しくテレビ観賞。政庁の香港電台が制作した、バラックのような臨時家屋や当時の「難民アパート」と日本で形容された環境の劣悪な公団住宅で苦しくも逞しく生活する人々を主人公に正義や公共心の大切さを説くといったドラマにて(教育テレビの中学生日記のようなもの)それらの家々の窓から獅子山が見えることでこのタイトル。制作は期待よりずっといい出来、日本でいえば60年代の豊かさへの経済成長が始まった時期に呼応したテレビ黎明期と同じ熱意あり。
○は扁が「月(にくづき)」に旁が「展」で脚の腱を意味だそうな(M君調べ)