富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月廿六日(火)曇。二更佐敦は彌敦粥麺家に食す。雲呑麺美味いとも思へぬやうになり久しく馳名と冠つけし及第粥を食すが味は呉松街和味粥屋に及ばなきこと明か。心なしか十年前に比べれば客に入り芳しくなし。これは外したかと思いつつ『大勝』にて競馬予想などしつつ粥を啜つておれば大柄活発なお嬢さん来店外賣にて粥を注文するが声いささか太きと思つたところ携帯にて電話すればfxxkに当たる広東語粗口連発にてお嬢さんオカマと認る。それにしても江口寿史ストップ!!ひばりくん!』彷彿させるほどの可愛らしきオネエサンにてさういふ可愛らしい外見にてその辺の路地の若衆の如く(さう中上健次のタイチの如き精悍な勇ましさ)粗口を撒き散らすその不均衡さがつまりは均衡とれてしまひたるヘテロなるsexualityの美には没き危さなり。美に遭ひたる川端康成君の如く余は目眩にて先に勘定済ませ街頭に出たるものの気になるは彼女トーシローかプロかということにて丁度携帯に電話あり用件すませつつ粥手提げ店出ずる彼女待ちて佇めば我が姫は西貢街を渡り粥屋と向いがMajestic Hotel地階がDisco&Karaokeの従業員用出入口へと消え姫はプロであると認る。まさにMajesticなる一期一会なり。▼この粗口嬢との遭遇を忘れられぬまま帰宅しいざ日記綴らふと思ひ網上にて『ストップ!!ひばりくん!』検索かけると本来は江口寿史氏がサイトが先頭にてヒットすべきところ何故か「篠ノ井優華の女装鉄ヲタなページ」なるサイトヒットし覗けば女装鉄ヲタなる言葉の意味がわかり仰天。されど女装は単なるsexual identityにすぎずその上にて鉄ヲタなり競馬好きなりソープ狂なりいても可笑しからず、か。いずれにせよこの女装さんが偶然にも香港MTR東涌線を詳細にレポートするは興味深き記事なり。▼日本政府の国会に設けられた憲法調査会参考人からの意見聴取を行っているが参考人の多くが現憲法の理念を踏まえた上でそれを発展させる方向の意見を開陳し安易な改憲論には警笛を鳴らした(と朝日)。安念潤司(成蹊大)は「日本国憲法はごく普通の憲法」であり「先進国に共通する憲法の役割は、国家権力を制限して国民の自由を保障するという一点に尽きる」と述べ特殊な点は「一方に憲法がすごく好きだという人が、もう一方にすごく嫌いだという人がいて、両者の間で(憲法が)『消費』されてきた、その日本的な議論のされ方だ」と。安念氏に対して自民党長勢甚遠氏「最近、人間関係がぎすぎすしてきたことと、権利を強調する憲法思想が定着しつつあることは無縁ではないのでは」という問い(ああ曽野綾子的……笑)に安念氏は「親孝行がなくなったのは憲法のせいだというような意見も聞くが、憲法に対する過大評価だ」と。御意。憲法は国家と国民の間にある最高法規にて親孝行だの礼儀だの修身を説くものに非ず。また山口二郎(北大)も「90年代の総選挙制度や行政機構の改革」を総括せず、憲法議論のみ行うことに危惧を感じ」「本来取り組むべき政治や行政の病理について、まじめな議論、的確な分析なしに、あたかも制度改革それ自身を目的のようにしている」と。確かに改憲すれば外務省の体質は改まるか、そんなはずはない。この調査会は自民党の意向強く「憲法がすごく好き」な憲法学者などは排除され比較的中立な者が招かれていてもこの結果である。道徳を憲法にもちこむような低レベルの発想が背景にあって意図された安易な改憲は避けるべき。