富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月十日(金)晴。Z嬢来る。Z嬢雑用済ませ昼柵町蕎麦切り蕎エ門(そえもん)「そばはまだ華でもてなす山路哉」なる芭蕉の句が似合う水戸の最上の蕎麦屋。午後笠間日動美術館、特別展は赤塚不二夫それでいいのだ!展、日動美術館と赤塚漫画というのも驚いたが数年ぶりに訪れれば曾ての洋館がモダンで洗練された建物三棟が竹林の丘に点在する美術館に変貌を遂げており、赤塚展もかなり見ごたえがあり一般の読者は知らなかった実質的に断筆することになる70年代後半の世界に触れられる質の高い内容。コレクションも相変わらず個人的には最も好きな美術館。なかむらなる京風割烹にて両親、Z嬢と会食。季節柄、鱧(はも)づくしでいいのだが、ひどく暑い店内、小上がりの座敷は殊にサウナの如く、三卓のうち私らを除く二卓の喫煙がひどく野暮にてゆっくり食事を味わう環境になし。それにしても煙草を吸わず置き煙草して引切りなしに新しい煙草に火をつける煙草アロマの主ほどの基地外は他に居らず。妹も合流することになったがとてもそういう気分になれず駅を越えてデニーズに移動。適度な空調、気流、分煙にて煙草の煙も隣のテーブルの料理の臭いも気にならず、よほど快適な空間、宇治金時のかき氷とチョコパフェを百年ぶりに食す。小泉君の靖国問題、昨日の朝日に一橋大学安丸良夫が書いているように神道の自然な先祖崇拝的な真な心が国家神道になりかなり強引な国家システムの一部となり、あたかもそれが日本の伝統そのもののように捉えられていること。「キミたちも日本人だろう」という自民党的御仁がいるが、その人が踏み絵の如く象徴化している伝統、神道なるものはビクトリア朝以降の国家体制下でのそれでしかなく、この御仁こそ伝統すら理解せぬ近代主義者なのである。