富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月二十五日(水)深夜台風兎玉接近に拠り八号警報掛かり明朝は朝寝しえると決込み台湾は陳俊志の記録映画『美麗少年』をVCDで見る。齢17、8ほどのゲイの少年三人それぞれ家族や友人との世界を描く99年台湾にて台湾映画第三位の興業成績の作品と宣伝にあり。極めつけは息子二人がゲイ、内一人はドラッグクイーンにて派手な女装にて舞台に立つ少年を理解に苦しみながらも応援し舞台袖で見守る父親と息子たちとの愛情。この作品に赤裸々に現れる事を厭わぬ彼ら、それを受け入れる市民、作品が新聞聯合報の文化基金により撮られる、台湾という社会の開放性。『美麗少年』は「美しき少年たち」の意ながら美麗島はFormosaの漢字名にてこの題も「台湾の少年たち」と読める巧題なり。半日かけ溜まりし新聞走り読む。草間『すみれ強迫』読了、宮崎駿がこれをアニメ製作すればすばらしき事。全く出街せぬまま日没、警報は3号に静まる。茄子のパイ、豪州はMargaret RiverのVoyager Estateの00年の白葡萄酒。夕方よりモルヒネI君(旧・白酒君)貸してくれし『メイプルソープ』(新潮社)読み始める。17歳の頃か渋谷のパルコにあった写真画集専門の書店だったか、青山のオン・サンデイズだったか、初めてRobert Mapplethorpeの白黒写真を見た時の衝撃を思いださざるを得ず。パティ=スミスとの同棲どころか『マンハッタン少年日記』のルイス=キャロルとの遭遇など知らぬ事ばかり。初めての個展で形式的にソロモンギャラリーに両親を招いたメイプルソープ、父は息子を理解できぬまでも写真好きの同僚に息子を自慢し、その同僚マンハッタンでメイプルソープがソロモンギャラリーと並行して行っていたダウンタウンでの「縛られた裸の男たち」の写真展のほうに行ってしまひ、その男から父に自らのアイデンティティを暴露される下りはどんな物語よりもをかし。