富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

1月22日(月)曇。日経の原稿、ひとまずOKと担当のM氏より連絡あり安堵、データ蒐集が必要で翻訳個体戸のS君に依頼すると快諾される。Bjorkも悪くなけれど矢野顕子を聞けばアッコちゃんに比べBjorkもまだ雑念多しと思う。十日ほど悩んだ揚げ句、レインクロウフォウド百貨店にてTUMIの肩掛鞄を購う。TUMI製品といえ「皮製に比べれば」廉価なナイロン地なれど防弾性、製品個別番号付きの永久保証にて拾った方にはTUMI社に連絡すればTUMI社が鞄を受取り所有者を判明、と。Filofaxに癒し系アイテム数々、ジムヱアにMD、競馬予想紙と荷多き我には最適、これだけ詰めた上に試しにデジカメにContaxのT2と同8x20の双眼鏡を入れてみるが、然れど他の鞄より重さを感じぬ設計に感嘆。Z嬢と粗呆区の仏料理屋Le Tire Bouchon、粗呆区が粗呆などと云われる遥か以前、我らが半山区に引っ越すかなり前より、かつては中環警察署横の古ベイリー街にありし仏料理屋、現在は粗呆区より一歩離れピイル街にて店を構えたり、されどこれまで十年機会を逸するままにて過ごしたり。葡萄酒は仏はAntonin RodetのChablisは1998年、前菜に炸せし鴨レバーはCalvados酒による蘋果甘煮のソース、同じく炸させし山羊チーズのサラダ、オニオンスープもあっさりコクあり、主菜は緑胡椒クリームソース鴨胸肉をシェアす。カラメルのかかったアップルパイと同じく蘋果のアイスクリームもかなり神妙な甘み、エスプレソも苦からず風味豊かなり。仏料理はソースといえど、鴨レバーも新鮮でなければ命とりが如き生にて(これがフランス産か広東産かは知らぬ)胸肉もかなり絶品、その上、ソースはガディスよかこちらに軍配、パンにて皿のソースを拭い食す。奥の大広間には「いかにも」な業界人たちが忘年会か1ダース半ほど陣取り、オレンジジュースの注文は酒が命の料理屋にとって致命傷の客かと思いきや生オレンジジュースをファンタの如くがぶ飲みにて、下手なワイン客よか上客か、店はこれ見よがしにその大広間だけ野暮なシャンソンを流し場を盛り上げる演出。我の背後の卓はZ嬢観察せば前菜からかなり小声なれど険悪な雰囲気だった若い男女、女が前菜の途中にて立ち上がり料理屋を去り、男、女の分までスープから主菜まで食すは無惨。