富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

李琴峰「国家に領有される個人」

陰暦二月廿七日。気温摂氏6.1/10.9度。曇。


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資生堂(ワタシプラス)の割引クーポンあつたので化粧水注文したら宅配で送られてきたものは段ボール箱はワタシプラス専用で開梱すると包装も立体的で、それを外して包装を解いて、やつと商品が現れた。

李琴峰「国家に領有される個人」(朝日新聞)

戦争が起こるということは、個人の身体に対する国家の領有権が極限まで拡張するということだ。身体だけではない。頭の中で考えていること(思想)、発せられる言葉や書かれた文字(言論)、その全てが国家に領有され、管理され、利用され、場合によっては弾圧の対象にされる。その中で「個人」なるものは存在せず、あるのは「国民」「勇敢な兵士」「一億火の玉」という総体、そしてその全てを凌駕する「国家」という巨大な権力だけだ。それに異議を唱えようものなら、直ちに「売国奴」や「非国民」に仕立て上げられて排除の対象となる。
国家とは一種の信仰だ。「国家」と呼ばれる実体は存在しない。人間がそれを定義し、それを動かす装置を作り上げてはじめて、国家は共同幻想として現出し、逆に人間を支配する。国家は共同幻想としての地位を維持するために絶えず物語を要求し、同時に新しい物語を次々と編み出していく。
ウクライナとロシアは歴史的に一体だ」というロシアの主張も、「台湾は中国の神聖にして不可分の一部だ」という中国の主張も、その類の物語だ。物語同士の矛盾は、国家同士の衝突をもたらす。この場合、物語が事実かどうかはどうでもいいし、プーチン習近平自身がこれらを信じているかどうかもさほど重要ではない。国家に対する人々の信仰を維持するために物語は不可欠、ただそれだけだ。物語さえ供給し続ければ、多くのエネルギーが生まれる――愛国精神や祖国愛、忠誠心、一体感、帰属感、使命感、求心力、敵愾心、民族意識、などなど。国家を信仰する人々にとって、これらのエネルギーは時として死への恐怖や、殺人への抵抗をも取り除いてくれる。
私は国家を信仰しない。

▼広州(南沙)に香港の教育制度による12年の小中一貫寄宿制学校の開校。民心学校。理事長がCY梁。これまでも広東省で深圳や東莞に在住する香港子女のために香港の制度による教育提供といふ発想はあつたが、この民心学校は香港から親が12年の全寮制学校に子どもを遣るのである。中共への愛国心に満ち溢れ未来の香港の安定した社会に貢献する人材の育成か。こんな少年刑務所のやうなところに12年も押し込まれると思ふとぞっとするが土共たちは「英国こそ全寮制の学校教育が盛んではないか」「香港にだつて英国の全寮制インター校が開校してゐるではないか」と反論するのだらう。思想信条や学問の自由があるかないか、こそ大きな違ひなのだが。f:id:fookpaktsuen:20220329233904j:image

▼香港の感染死亡率を算出するのに感染者数を中国の総人口で割つて計算する林郑市長……尊子漫画(明報)。この政治漫画も年内に停止となるのでは?と思ふのはアタシだけかしら。

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