富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦閏四月初十

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左派が騒ぐのは香港で米国が総領事館や総領事公邸、外交官住宅などの不動産を処分検討とか逆に中共が外交儀礼での固定資産税免除など待遇撤回とか。

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香港大學から独立した香港民研が極めて民主派寄りで「あれは世論調査ではない」と揶揄されるのに対して中文大学の民意調査中心と明報の世論調査は香港で最も客観的だらう。それの最新の調査によれば中央政府による香港での国安法立法につき賛成24%に対して反対が何の偶然か六四を前に64%である。北京中央は香港市民の意思尊重すべきが66%で北京中央が香港に国安法関連の機関設置に反対は60%と高い拒否感。それに対して香港市役所は国家安全に対して何らかの責任果たすべきは賛成が過半数越への52%で反対が20%なのだから香港市民の常識伺ひ知ることができる数字。

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それに対して民主派寄りの香港民研の調査も面白い。昨年の反修例風暴から今の国安法といふ1年の流れのなかで中央政府の一国両制に対する評価が10点満点で4.09→3.61と0.38しか落ちておらず香港の将来に対しても悲観か?と思へば4.42→3.92と0.51しか落ちてゐない。香港民研の調査であり回答者も民主派支持層が多くて、これである。当初から冷静に悲観的でいち/\落ち込みもせぬ現実的感覚、シニカルさは大したものと評価すべきか。

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台湾は市民6割が台湾政府の港澳条例修正で積極的な香港の民主制度や自由を支持すべきと熱い。澳門については「もはや」なのか。 台湾といへば今朝の朝日で鷲田清一「折々のことば」で畏友・一二三さんの『台湾物語』からの、この言葉。

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日本でCSIのマスクをしてゐても当然のことながら誰も気づきもしない。香港政府懲教署(CSI)謹製……つまり刑務所の受刑者たちが製造するマスクは疫禍口罩不足のなか香港の医療関係者、政府で防疫前線の職員に優先して支給され何れは市民にも……といはれてゐたが3月一向に支給進まず「中共に上納か?」とすら疑はれたほど。アタシは公務員の知己が分けてくれて保管してゐたが、これを覆つてみると内側の毛羽立ちがひどい。これでは皮膚過敏症の人は腫れてしまふだらう。香港から香港政府支給のCarrie Maskも送つてもらつた。小さすぎるアベノマスクに対して香港のこれは大きすぎ。だが材質的にも何方を選ぶかと問はれゞば香港のだらう。


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善良なる市民の一人としてマイマンバーカード申請して申請から3週間後で「カード出来ました」の通知届き本日、市役所へ。4月下旬は特定定額給付のためマイナンバーカード申請や暗証番号再設定で市役所市民課は感染恐ろしいほどの市民が駆けつけてゐたが10万円受領では「不便極まりない」オンライン申請せぬかぎりマイマンバーの有無関係ないことも陋巷に周知され今ではマイマンバー申請窓口は再び閑古鳥。アタシ自身はマイマンバーが必要とも思はぬところ興味は、このマイマンバー制度がどれだけ不備かの実検。で申請してみれば暗証番号は①署名用電子証明書のための英字(大文字のみ!)と数字の暗証番号の他に②利用者証明用だとか③住基台帳に加へ④券面事項入力補助用と4つの暗証番号あり。②から④は同じ数字4桁でも構はぬといふが、英字大文字のみ!から、これでは「間違つてください」とお願ひしてゐるやうなもの。それを窓口の電脳モニタで入力させられるのだが「大切な番号」なのに背後から覗けば覗ける。際確認画面もなくタイプミスで、そのまゝ入力。市民IDは世界中のものを見てきたが住所ありは初めて(中国は「単位」)。しかも市内転居の場合は新住所は手書き。カードは10年後まで有効で電子証明は4年だけ。膨大な労力を費やし任意で普及度が15%以下で、この不便の極みに言葉もなし。日本は30年以上前の国民総背番号制が政府疑ふ市民の良識で廃案となり住基台帳で今回の任意のマイマンバーなわけだが中途半端すぎ。かういふ国民管理に反対もしたいところだが現実にはすでに番号どころか監視カメラや生体認証でもはや本人の拒否など出来る世界ではない。


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郵便の「転送」を香港のやうに気軽に考へ申請したのだが日本では「転送」はあくまで「転居」のため。勿論、気軽に「転送」でも使へるのだが問題は、それこそマイマンバー、年金や税金、銀行やクレジットカードなど本人の所在確認がため「転送不可」となつてゐる郵便物があることで「転送」にしてしまふとそれが受け取れず、転送先が更に住民票や健康保険など住所と異なる場合、その郵便受領はとても面倒なことになる。前述のマイマンバーに住所表記あるのもさうだが日本では「住処の在り処」がどれほど大事か。土地に紐つけされてゐることの大切。戸籍制度から何も変はつてゐない。それでこの転送申請の結果やゝこしいことになり水戸の中央郵便局へ。その隣、銀杏坂の公衆便所は昔、本当に汚かつたが平成にそこを整備して公衆便所もきれいな上に水戸市平和記念館を開設。昭和20年8月の水戸大空襲の記憶。

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展示の写真のなかに昭和14年の水戸の花街・鳥見町にあつた産業組合が組織した大陸慰問使の市中行列、昭和18年の鳥見町で芸妓らによる消化訓練。昭和14年当時、我が祖父はこの三業組合の理事長で、この慰問使の団長。陋宅に当時の訪支でのスクラップもあり。そして昭和18年の消化訓練では地区の消火団の団長も祖父。


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昼前に奈良屋町の裏道に佇む評判の「そば眞」といふ蕎麦屋へ。

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昼酒にヌキははゞかり鴨南蛮 酒は月の井 東へ三里

市立図書館が今日から閲覧室まで開館(といつても座席はかなり隔離)。読了の桑田忠親千利休』返却して岡倉天心“The Book of Tea”や、その邦訳、関連書籍借りる。桑田忠親の史料に基づく実証主義と、その上での空想推測が実に愉快。“The Book of Tea”はさっと一読したかぎり英文の原著の崇高さが邦訳ではやはりトーンダウンしてしまふ。
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泉町広小路で「鉢の木」に寄つたら、もう水羊羹が供されてゐた。

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鉢の木も練りから水に衣かへ