もはや脳裏まで疫禍に感染したやうに思考も誰彼との会話も疫病のことばかり。荷風散人や百鬼園の日記を読んでも健一の書き残したものも戦時中は何う思考停止にならぬやうにと努めつゝ何うしたつて何う生き延びるかとなる。それに近い思考停止感あり。だが戦争であるとか未曾有の天災に比べれば、この疫禍は……と思はねばいけない。これがもしかすると第三次世界大戦の代替になつてくれゝば。しかし戦争や自然災害に比べ疫禍は土建的な復興経済が生じない。強いていへば検疫や医療衛生ビジネスのみの経済効果。ところで宮内庁HPで見たら天皇皇后両陛下は2月14日に東京ドームへ世界蘭展2020にお出かけのあと宮中と御所でのご公務のみで外出なし。さすが防疫が徹底されてゐる。
前世紀からの知己Ｕ氏から食事に誘はれ大圍住人Ｍ氏も加はるとなると場所は大圍で午前中から昼すぎまで在宅で所用済ませ見事な晴天の下、大圍へ赴く。鰂魚涌から地下鉄・観塘線で九龍へ渡り屯馬線（第一期）開通してゐたこと思ひ出して鑽石山から烏渓沙行きに乗る。顕径（Hin King）一駅を過ぎ次は大圍。従前なら九龍塘で東鐵に乗り換へとなるがMTRと旧KCRで連絡不便の、それを思ふと鑽石山の乗り換へはとても簡便。それでも大圍含め馬鞍山線各駅には便利でも東鐵で大圍以北に往くのなら従前通り九龍塘で乗り換へ一度の方が断然に楽。
大圍での食事は遅めの昼、啤酒飲みでれでれしてゐたら厨房の調理師が出てきてテレビで競馬中継見物。あれ？と思つたら今日は香港ダービー。それすら忘れてゐたとは。今日のダービーの１番人気はGolden Sixty（金鐘六十）で単勝1.4倍。これにさしたる対抗馬もをらず確実に勝利を得る。何度かの香港ダービーのレースシーンが脳裏を過ぎる。大圍も香港国際やQE IIカップのあと日本からの馬友らと一緒に今はなき楓林小館に食したことなど懐かしいかぎり。
