富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2017-12-22

農暦十一月初五。見事な冬の快晴。雲一つなし。本晩も忘年会あり。天后は清風街の上品火鍋。いぜんI君にいたゞいた四川の水井坊といふ老酒持参。本日は冬至。家族で暖かく団欒が当時の風習だといふのに、その晩にクリスマスの装束などして「会社単位」で忘年会などしてゐる日本人は地元民にはかなり奇観に映つてゐるのだが日本人はそれすら気がつかず。近代の不幸。確かに名前の通り「上品」火鍋だが評判の牛肉は一見豪華に見えるが究極の薄切りで火を通すと4分の1ほどの大きさに牛肉が縮むので3、4切れを一緒にしゃぶ/\せぬと食感がない。冬至は飲食店にとつては稼ぎどきで火鍋屋となれば冬至は人口に膾炙し外には予約なしでの待ち客あり。宴会も2時間近くになつたら2時間でお勘定済ませて卓を譲つてくれるのなら2割引きとオファーあり。火鍋も終はつたのにでれでれ飲まれてゐては店にしてみたらたまつたものぢゃない。晩八時半には帰宅。マフラーの整理。寒がりだしマフラーの安堵感が好きでマフラーがとても増えてゆく。テレビをつけるとフジテレビで中村屋のドキュメンタリーあり、それを眺める。先代の勘三郎からひ孫の代まで梨園でも奇特な役者一家。勘九郎の倅二人を見て思ふが確かに、この梨園で役者の家に育つといふことで確かに陋巷に育つのとは違ふ独特の感覚が育まれるのだらう。明らかにフツーぢゃない倅たち。中村屋には十八代目に幼い頃から可愛がられ部屋子として三番目の倅と育てられた鶴松もゐるが子役から芝居の世界にゐる鶴松がやはり普通に見えるのだから。それにしても女将の好江さんのゴッドマザーぶり。この番組の紹介記事で「勘三郎の長男、勘九郎と次男、七之助兄弟の奮闘……」はどこの新聞だつたか歌舞伎に明るくなければ(読み方によれば)最大5人のように読める。本多勝一『日本語の作文技術』的には「勘三郎の長男・勘九郎と次男・七之助兄弟の奮闘……」と書けば良いのだが。
クラシック音楽界ではレヴァインに続きデュトワも#ME TOOでセクハラ醜聞。かうなると次は世界に君臨するピアノの女王なのではないか、と。キーシンあたりが#ME TOO……なんて怖くてできないか。怖いといへば中村屋の女将と東西対決。それも大分は別府の温泉で、と思つたら「芝居の湯」なる施設が別府にあり。