富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦八月廿九日。晴。気温が摂氏24度まで下がる。晩に浅蜊と烏賊のパスタで新西蘭はDog Pointのシャルドネ2012年。今週に入り慣れぬ野球応援の疲れ。
朝日新聞(論壇時評)で「テロ対策「宗教」決めつけの落とし穴」小熊英二先生(こちら)。欧州での無差別殺戮で実行者が中東出身者であるだけで「イスラムテロ」扱ひ。テロ防止が個人管理につながる社会。その指摘は正しいが、最後で相模原の施設での殺傷事件取り上げ福祉・介護施設は「未来の見えない職場の一つ」として今世紀に入り「介護に関わる若い人のそうがだんだん変わってきた」といふ。さういふ面も確かにあるだらうが、かう言ひ切つてしまふと真摯に福祉に従事してゐる若い人たちにはやりきれないものがあるだらう。同じ朝日でエマニュエル=トッド先生がグローバリズムについて(こちら)。グローバル化でそれまで国家意識のあつたエリートたちが国家についての責任をもたなくなり(それは彼らにとつての理想で)、かつてはエリートは庶民と社会を共有してゐたがグローバルエリートたちが増えたことで彼らは自分たちの階層を形成し、勝ち組と負け組に社会が断層化する。教育には民主主義を可能にする反面、それを破壊もする、と。御意。社会は無秩序に回帰するのか……とトッド先生いふがトッド先生の核家族原理同様、社会はかつて無秩序であつたわけではあるまひ。コミュニケーションの範囲が狭かつたことで、むしろ他者への関与は小さく、それぞれの社会が小康を保つてゐたはず。
▼日経の見開き広告で「あたらしい服を、さがそう」と宝島社。この出版社自身、いったい何度、衣替えしてゐるのかしら。