富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

野党よりマシ、は自民党で晋三に非ず

fookpaktsuen2014-12-15

農暦十月廿四日。雨傘七十九日。銅鑼湾の道路占拠撤去。立法会も議長声明で立法会前の敷地内の占拠排除。香港警察史上最大の嫌はれ者たる警察署長の曾偉雄が雨傘騒動始まつてから情けなくも初めて記者会見。初日からの警察の暴力も必要最小限の適正な行動とした上で3ヶ月以内にこの騒動の元凶を徹底的に調べ上げ逮捕する、と断言。……といふことはCIAにでも逮捕状出すのかしら(嗤)。ここ数日の遊び疲れで按摩。さすがに寒くなりユニクロで厚手のウールパンツと、無印でカシミアのセーター贖ふ。このセーター有楽町の無印で7900円は買はうか迷つて躊躇したが今日見たらHK$600で消費税込みでも円安で日本で買つた方が数百円お得。帰宅。ここ数日の中華にさすがに胃疲れで湯豆腐。不愉快になるの承知で衆院選明けのNHK NW9見たら案の定キャスター大越が官房長官菅某相手にヨイショで菅某も晋三ばかり目立ち暇なのか番組最後まで立ち会ひ。「外国人が増えると犯罪が増える」など偏見も含め喋り放題。キャスター大越も最後の最後で「沖縄の結果についても聞かないわけにはいきません」ってオマエ、アホか、そんな大切なこと最初に尋け、って。
▼今回の占拠結果、自公大勝、圧勝といはれる。朝日の「大勝」は本当にさう思つてゐるのか、やっかみなのか。毎日新聞の自民「横ばい」が正確。あの読売新聞ですら「与党に対する国民の支持は積極的ではなく「野党よりまし」という消極的な面が強いことをきちんと自覚する必要がある」と忠告するほど。いずれにせよ48%の得票率で=投票率からすると国民のわずか25.3%!の支持で79%の議席得たのだから大したものだよ蛙の小便。前回の民主党大敗選挙より12万票少なく議席も3減だが定数5減で公明党への選挙協力もあり(公明党は4増)。前回は43%の得票率で議席占有率は79%なのだから今回は野党の候補者調整が多少なりとも効果上げたことになるが野党の候補者一本化した194選挙区のうち当選は42区で勝率は22%と厳しく、これこそ「自民党以外には託せぬ」有権者の反応そのもの。いろいろ数字を見たが面白いのは2009年の民主党への政権交代選挙では自民党は2730万票も得て議席は21%、つまりこの時は民主党自民党に勝る得票得たわけで小選挙区制度もなか/\面白い。名前失念の政治学の先生曰く「2012年の衆院選民主党への批判票で自民党は政権に返り咲いただけだったが今回の大勝で自民党は「安倍路線」と運命をともにすることになる」の通り。自民党ホープ小泉ジュニアの「熱狂なき選挙であり熱狂なき圧勝だった。これから自民党にできないことがあった場合すべて自民党の責任であり言い訳できない」はコメントの妙がさすが父譲り。筑波大MBA?のTaggart Murphy教授曰く(選挙前日の紐育時報
If Mr. Abe wins on Sunday, in practical terms it will mean more regressive taxes, public spending projects that benefit old-line corporations, cuts in pension obligations, and the substitution of job security with a system of poorly paid temporary work. The men who seek to carry out this program will not cackle with glee like Wall Street bankers gloating over the ruins of companies whose assets they have stripped and workers they have fired; they will instead bow low with long faces, convinced they are participating in a general sacrifice over which they have no choice even when they are personally benefiting from the results.
と問題多し。毎日新聞の社説「冷めた信任を自覚せよ」一読の価値あり(こちら)。毎日新聞の冷静な分析は今日の新聞各紙のなかで目立つところで2面の衆院選分析記事「政策を問う」「改憲語らぬ首相 公約から草案削除、現実路線へシフト」も単に晋三の改憲路線批判ではなく晋三の改憲姿勢、自民党の「自衛隊の存在を憲法に書き込めれば十分」といふ本音、公明党の9条既存の1、2項堅持は絶対に譲らず自衛隊国際貢献を第3項に「加憲」までよくまとめてゐる。
毎日新聞「時代の風」中西寛•京大教授「日本のメディアこの1年」より。

新聞、放送、雑誌などの既成メディアがおしなべて余裕を失い、読者ないし視聴者の関心を引く話題に飛びつく一方で自己検証力を弱体化させている点であろう。こうした傾向をもたらした最大の要因はもちろんインターネットなどの「社会メディア」による情報流通が既成メディアの正当性を弱め、また商業活動として困難としている点にある。中でも特に活字報道は、報道の自由という民主主義社会の基本原則に守られ、特定の立場からの報道も他者の人権を侵害しない限りにおいては広く認められてきた。しかし社会メディアが登場する前には批判されることの少なかった既成メディアも、社会メディア登場後は無数の発信によって報道の過誤が繰り返し検証され、避難されるようにあった。当然ながら報道は真実を報じる原則に対しては忠実であるべきであり、この原則による批判に対しては弱い。とはいえ報道の対象となる事象の真実性がすべて明らかであるわけではない。そうした中で既成メディアはしばしば部分的な情報を手がかりに自己の立場を強化する報道を真実として伝えてきた。しかし後に報道が誤りでああったことが明らかになった時、既成メディアは誤報を認めて自らの正当性を弱めるか、しらを切り続けるかという選択に迫られることになった。朝日新聞の経験はその最たる例であり、同紙の対応は混乱したものであった。

……とメディアの現状を京大人文っぽく的確にまとめていらっしゃる。