富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

初めて尖沙咀「映月樓」に飲茶

fookpaktsuen2014-05-16

農暦四月十八日。驟雨といふより幾度となく大雨が来ては過ぎる。雷。夕方の一雨でやっと小康。昼に客人同行で初めて尖沙咀の映月樓に飰す。確かに眺め良いが映月樓の入る文化中心の建物ぢたいが景色を邪魔。夕方束の間の時間に整体。FCCにて輪島からお越しの輪島塗のW氏と輪島塗の台湾での普及などサポートするK姉妹と会ふ。W氏はたんに輪島塗の職人ではなく輪島の漆塗りに源氏物語の蒔絵や故実、古典文学の物語を表現させる見事な技巧、さらに夜叉ケ池も絵柄から思はず泉鏡花の話となり(最近は鏡花なんて読んでゐる方と遭ふことも稀だから)かなり盛り上がつて畏友村上湛君補綴の天守物語の話から(W氏も「見たかったなぁ」とため息)三上博史草迷宮、寺山の話となりW氏の文化庁の文化交流私で香港で氏の作品をどう紹介するか、の話の筈がこちらの余談で、つひ横道に逸れてしまふ。それにしても氏のなんて感性、知性の豊かなこと……羨ましいかぎり。氏曰く旧いものには何かしら何百年も残るだけの理由、意義等あるわけで、たゞ旧いから、だけではなく、それの真意見出だすことの大切さ。それを今の我々の時代、そして後世に遺したい、と。そのためには輪島塗で作品を作るだけでなく、その絵柄にも奥にある物語、髄の勉強が必要なのだ、と仰る。その言葉ただ/\拝聴。晩にW氏らと湾仔の留家厨房。Art Baselから戻られた劉健威兄に時間をとつてもらひW氏ご紹介。香港代表する美術評論の健威兄とW氏の交流、端から見てゐるだけで興味尽きず。健威兄に贈品やカタログに署名請はれたW氏のまぁ筆致の見事さ。字は人を表す。こんな字が書けたら本当に羨ましい……と今夕ただ羨んでばかり。それでもアート的な刺激のない日常のなかで今晩は格別。W氏らを歩いて銅鑼湾の誠品書店までお連れする。台湾人を誠品に連れていくのは初めて。氏に「本当に歩くのが早いですね」と言はれる。香港ではこんなものだが輪島でこの速度で歩いてゐたら変人。バーSに独酌して帰宅。
▼晋三任命の小松法制局長「健康に不安」で退任。他人の疾病、健康不良に一抹の安堵?する政治とは何か。