富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-11-04

農暦十月初二。北京天安門車禍事件。中共はこれをウイグル族独立運動団体・東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)によるテロ行為と断定してみせたが、この車禍で車には運転してゐた男性の妊娠6ヶ月の妻や七旬の母親まで加へた集団自焚行為。これについて今日の明報が国際的テロではなくウイグルでの人権問題で当局から弾圧受け死亡した男性の家族がそれに抗議示す上での行為だつた、といふ。さうなると問題は中共ウイグル統治に関する問題となるのだが。
▼ドナルド=キーンはんの東京下町日記(都新聞、二日)より。

源氏物語」の現代日本語訳はいくつかあり、谷崎潤一郎訳が有名だ。ワタシはウエーリの英訳と谷崎の現代語訳を比較し「ウエーリが優れている」と文芸誌に書いたことがある。だが、谷崎に不遜だったと反省し、詫び状を書いた。返信には「何も気にかけてをりません」。私はホッとした。(略)終戦直後の四八年ごろだったと思う。谷崎は三冊の『細雪』にサインしてウエーリに送った。日本の現代文学に無関心だったウエーリは読んだが、食指は動かなかったようで、三冊本を私にくれた。私は『細雪』を傑作だと思った。だが、谷崎の「私の源氏も訳してほしい」という願いはウエーリには届かなかった。

と。「ちょといゝ話」的な洒脱な随筆。同じ都新聞で文芸部の記者の書く物故文化人回顧で岩城宏之の巻にある話は

朝比奈隆さんが創設し、終生指揮した大阪フィルにソリの合わない楽員がいた。何かと衝突する。だが阪神大震災のとき、神戸市の朝比奈邸に「先生、ここは危ない」と駆けつけたのはその楽員だった。……と教えてくれた岩城宏之さんは、少しうらやましそうだった。だから朝比奈さんにインタビューしたとき、そのことを尋ねた。「岩城さんがそんなことをおっしゃいましたか」巨匠も嬉しそうだ。米寿の記念の取材でのこと。恩師である亡命ロシア人メッテルの遺訓「一日でも長く生きて、一回でも多く舞台に立て」を胸に……

素敵な話は澤山ある。沢木耕太郎藤圭子インタビュー集『流星ひとつ』について角幡唯介朝日新聞読書欄書評読む。これも実に上手い。