富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

マゼールでワーグナー「言葉のない指環」香港フィル

fookpaktsuen2013-11-01

農暦九月廿八日。早晩に佐敦のバーWに独酌。麦酒一杯。Z嬢と尖沙咀の印度菜食料理Brantoに夕餉。香港文化中心。何年ぶりかしら?で香港フィル演奏会。ロリン=マゼール指揮でワーグナー歌曲のマゼール版幕の内弁当「言葉のない指環」が今晩の演目。まずは文化中心のホワイエでワーグナーの「ジークフリート牧歌」演奏。これがじつに美しい演奏。それが終はり客をホールに入れて、たつぷり「言葉のない指環」。マゼール師の指揮見にきたやうなもの。「これがもう最後かしら」と思つて数度目なり。香港フィルでこの長尺の曲をばこゝまで演らせるのだから大したもの。
▼北京天安門広場での新疆派による車禍事件につき北京中央の対応を「ウイグル族への厳しい締め付けが国際的な批判を浴びるのを避けるためイスラム過激派が相手の「テロとの戦い」を演出する狙いと見られる」ときっぱり日経の山本周平記者。こゝまで言ひ切れるのは立派。中国といへばあらゆるところに国旗、国章があるが各省、市微といつたものがないこと確かに言はれてみると、その通り。1997年の党中央と国務院の「关于禁止自行制作和使用地方旗、徽的通知」なるものあり地方の旗やシンボルマークなど一切の制作と使用禁止。党と国と地方が一体の中央集権。1997年末の通知で中国でつまりかうした地方旗などが唯一許されてゐるのが香港とマカオ特別行政区といふことになる。
参院議員山本太郎君の園遊会天皇直訴「事件」。けして誉められる行為ではないが自民党等から議員辞職まで求める声あり。天皇の政治利用に当たる等と指摘されるが天皇の政治利用といへば晋三ら万歳三唱の主権回復記念式典がそれでありオリンピック誘致での皇族の起用こそそれに該当。天皇の政治利用は政府などによる行為を指し今回のケースは当たらないだろう、と憲法学者の指摘あり(都新聞では横田耕一・九州大学名誉教授)。さらに慶應大の小林節教授も「山本氏の行動は論外だが、自民党政権は長年、天皇や皇室を政治利用してきた常習犯。反省のない自民が批判する資格はない」「自民は政治利用してもいいが、他はダメというのは、ご都合主義だ。自民の政治利用が、山本氏を誤解させた面もあるのではないか。反省すべきは自民だ」と手厳しい。園遊会といへば2004年に棋士米長某が「学校で国旗を掲げ国歌を斉唱させるのが仕事です」と自慢したところ陛下に「強制になるということでないことが望ましいですね」とお灸据へらた痛快なるあの一件思ひ出す。内田樹先生が呟板で

誰も気づかないうちに天皇陛下の「政治的実力」は非政治的な行動を通じて蓄積されていったのです。今日本でいちばん信頼されている「公人」は間違いなく天皇陛下ですから。政治家と官僚の質があまりに劣化したために天皇陛下の「公正さ」が際立ってきている。

と指摘。御意。