富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-08-07

陰暦七月朔日。立秋。昨日も母が蕎麦屋のご亭主と「暑い、蒸す」と話をしてゐたがアタシには心地よい涼しさ。冷房が緩いのが有り難い。昨晩も窓を開けたまゝで少し湿っぽいが夜風浴びつゝ寝る。夜明けで目覚めると朝の四時半。お寺だ、これぢゃ。実家に通販で届いてゐたもの片付け。前原光榮商店と小宮商店、いずれも日本橋の紳士用折り畳み雨晴兼用傘。京都象彦の漆塗お椀など。内田百間東京焼盡』少し読む。朝のワイドショー番組ぼんやりと眺める。フジテレビで紙兎ロペは面白いが、どの番組も話題は「局地的豪雨」。「気象の変化が激しい」「突然のゲリラ豪雨」と嘆き「これぢゃ安心して外出できない」「もっと確実な天気予報を」と街の声。うんざり。こんな雨は今までなかった、とそりゃ「異常気象」が今は現実なのだから、この雨も当然だと思へば「かういふもの」と思ふしかなし。毎日とことと慣れゝば話題にもならず。問題は地球の環境破壊と温暖化。この雨は昔なら南洋のまさにスコールそのもの。それが北回帰線より、こんな緯度高い日本まで来たのか。家の物置から祖父の遺した色紙いくつか取り出して眺める。風流な俳画などに混じり山本五十六の有名な
益良雄の ゆくとふ道を ゆききはめ わが若人ら つひにかへらず
の歌の自筆色紙と、もう一つは横山一郎海軍少将から直々に祖父への色紙など出てくる(昭和十七年に満州の新京(長春)にて。初見。真言宗豊山派神崎寺。母と妹先考掃墓。市街の画材扱ふ店(F帳簿店)で色紙額縁と短冊掛け購ふ。棚町のN書店。このご時世に護憲で店頭に憲法関係書籍多数。新潮社の『満州朝鮮復刻時刻表』購ふ。駅南の「備前」といふ日本料理屋で昼餉。刺身と天ぷらの定食。母が中学校のときの恩師K先生に朝、電話するとK先生ご夫妻で来られ会食。中学といへば自動車で城跡の母校何十年ぶりで通りかゝると二の丸にある学校はすつかり二の丸御殿風な建築に様変はりしてゐたのには驚き。母とK先生ご夫妻を残し妹の自動車で駅に送つてもらひ新型E657系になつた特急「ひたち」で上野まで。初乗りに奮発でG車にしたが車内にはアタシ一人。かつてのスーパーひたちの651系(1989〜2013)のG車は当時のJRでは成田エクスプレスと並び1+2配列で一人掛席ある画期的なものだつたが今回のE657系への置き換へでG車は2+2に。だが予想以上に快適。普通車も電源ソケットあり。注意書きで「停電、電圧の変更があること」述べてゐるのが、いかにも常磐線。50Hz専用機器はお使ひなれません、って50Hz専用機っていったいどんなものがあるのかしら。東京駅からタクシー雇ひ麻布神楽坂の国際文化会館下榻。いくつか仕事済ませ麻布十番から大江戸線で汐留。宮脇賣扇庵。いつもの扇子一つ購入。折からの猛暑で客多し。Cafe de L’ambreで老マスターの尊顔拝す。渡邉版画店。来年の巴水のカレンダー購入。タクシーで愛宕山。某懇親会あり末席汚す。市中視察して三更に旅寓に戻る。
▼「いじめ被害 小学生の9割」と昨日の日経。国立教育政策研究所が首都圏で行つた調査。この実体が「わかった」とするが、こゝでいふ「いじめ」は仲間外れ、無視、陰口の類ひで、これを「暴力を伴わないいじめ」とするが、仲間外れや無視、陰口は世の中では広く日常的にあることで、それらを寧ろ子どものときに体験することは学習では。これを大人が「いじめ」と深刻視することの社会的病理。更に千葉大の教授(教育方法学)が、かうした行為が「子どもたちの間で日常的に起きていることが浮き彫りになった」「深刻ないじめに発展する恐れもある」として教員に子どもたちの気になる行動見つけた場合の対応を求める。教育学の専門家までこの態。こんなに「いじめ」に過剰反応する社会のほうが「いじめ」ある社会より寧ろビョーキで末期的では?

満洲朝鮮復刻時刻表

満洲朝鮮復刻時刻表