富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-06-07

農暦四月廿九日。養和病院。C医師より昨日の胃鏡検査の結果見て細かく説明受ける。六年前だかの胃潰瘍に比べるとずいぶんと軽症。一週間分の処方薬。ストレスが原因でせうが胃を労りながら気長に養生を、とC医師。酷暑。昼に石硤尾南山邨の嘉湖。注文しておいた粽を受け取り。招待券1枚あつたので油麻地のCinematiqueで山田洋次監督の『東京物語』見る。あまり期待してゐなかつたがさすがなか/\の出来。滋子(中嶋朋子)と昌次(妻夫木聡)の関係が物語の最初で親子?でもないし夫婦でもないし、姉弟とわかるまでに少し難しいのは小津の「東京物語」の登場人物の家族関係をこのリメイク版もなぞつてゐる、と思つてしまつてゐるからかしら。吉行和子妻夫木聡の母子のシーンがいゝ。誰彼も物語のいろ/\が自分のこれまでの年月にオーバーラップするところが山田洋次の凄さ。周吉(橋爪功)が久しぶりの酒に酔つて「この国は何を間違ったんだ」と凄む言葉が何とも。それと若い子どもに「この先、厳しい時代が待ってるじゃろうが」と言はざるを得ぬ不幸。間違つたなら正せば良いし子どもたちには素晴らしい未来を遺してやれば良い「だけ」のことだが、それをしようとすると晋三や橋下になつてしまふ不幸。周吉が息子の幸一の家で読んでゐる新聞が都新聞だね、あの紙面は。311の震災まで物語に取り込むほどの同時代性なら、どうせなら昌次が母に「会わせたい人がゐるんだ」と紹介すると、それが蒼井優ではなく同性のパートナーだつたりも面白いかも。晩遅く尖沙咀の「道」で飲食してゐたK嬢とZ嬢に合流。ペニンスラホテルのバーで香檳酒飲み深更に至る。
エコノミスト誌のカバーが面白い(Leaderの記事ぢたいは面白くもない)。題して「断背山君子庭訓」(たつせやまをとこていきん)か。