富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

梅葆玖と葉少蘭で「鳳還巣」

fookpaktsuen2013-01-18

農暦十二月初七。早晩に北角。寿司加藤の口開け。寒さに酒二合熱燗、赤貝と水蛸をつまみ、赤身と生烏賊の握り二カンずつ。今晩は独り新光戯院。梅葆玖と葉少蘭、これは歌舞伎でいへば大成駒が葉少蘭のニンを譬へれば先代勘三郎か、と共演するやうなもの、で「鳳還巣」。この芝居は筋はアタシは今一つだと思ふし*1劇中の歌や台詞も特段よいものではない。が、何せ今晩は梅葆玖と葉少蘭だから超満席。前半は雪娥役を梅葆玖の愛弟子の女形、胡文閣(富柏村日剰〇七年一月廿六日)が勤め、穆居易は李宏圖から後半で葉少圖に代はり最後の大詰めで梅葆玖(79歳)の登場。葉少蘭は齢七旬でまだ/\歌へるが梅葆玖は一幕だけでも、さすがに演ずることには少なからず難あり。それでも梅葆玖が舞台に出てくるだけで観衆はやんや/\の喝采。来年が父・梅蘭芳の生誕百二十年で記念の芝居多くご披露と舞台挨拶あり。SCMP紙によれば
Mei's connection with Hong Kong dates back to his teenage days when he lived in the city for about two years. His father's earliest performance in the city was in the 1920s at the old Lee Theatre.
といふ香港との縁。

*1:筋は簡単にいへば昔、男ありけり、で、この穆居易は文武に長け相思相愛の良家の娘(程雪娥)がゐたが、戦地に遣られる間に、その良家の娘が嫁いだと聞き、その娘には器量悪き姉がゐたが嫁げるはずもなく容姿端麗なる妹が嫁いだと落胆、戦で功績上げ褒美にその名家の娘を妻に遣らう、と将軍らに言はれ、あの行かず後家の長女か、それでも拒めず、で辟易としてゐたら実は醜悪なる長女こそ、どうにか早く嫁がせたい、といふ親の策略で或る名家の盆暗な跡取り息子に遣り容姿端麗なる妹が残つてゐた、といふオチ。