富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

都新聞

fookpaktsuen2012-06-26

農暦五月七日。日本の今日の国会の消費税巡る「攻防」見て自分のほうが国会議員の先生方よりよっぽど大変な一日を過ごしていた、と思う国民は少なくないだらう。アタシもその一人。いくつか難関のあつたミッション終り早晩にハッピーヴァレイのパブで麦酒独飲。パブからOCSに電話して都新聞の購読申し込み。和仁廉夫さんの取材がトップ記事になつてゐると知らされ日本から取り寄せた「週刊金曜日」(五月廿五日号)読む。近くにゐたZ嬢も来て一緒に飲む。
▼最近、facebookでもアタシのまわりでは都新聞に関する話題多く都新聞の購読を決める。香港では都新聞は東京からの空輸で半日遅れで朝夕刊でHK$971=1万円也。朝日新聞が国際衛星版でHK$520だからかなり高い。アタシにとつて都新聞は母方の祖母の思ひ出。東京新聞といふ見慣れない新聞が祖母の家にはあつて祖母に尋ねると「昔は都新聞って言ってね、昔っからこれだったのよ、日経なんて今ぢゃ大したものだけど昔は株屋相場師の新聞、なんて言はれて読むのも恥ずかしかったんだから」と日本橋生まれで戦争の空襲で四谷を焼かれ田舎に疎開したまゝ戦後を暮らした祖母は田舎暮らしでも頑なに都新聞。アタシの育つた家は祖父が読売新聞読んでゐたが祖父が亡くなると母が朝日に変へてアタシも朝日新聞で育つたやうなもの。巨人、読売、自民党が嫌ひなる。だからもう何十年も朝日なのだが朝日も考へてみれば周一さん、秀和さんの連載もなくなつてしまひ大江健三郎はアタシは興味もないので、さうなると朝日を読むのはしりあがり寿「地球防衛家の人々」なのだがデジタル朝日も購読してゐるし、で今回の判断。香港で他に東京新聞読んでゐる人ってゐるのかしら。アタシの感覚だと香港は購読の多い順で日経、読売、聖教、朝日……でアトは無しといふ感じ。
▼この週刊金曜日は「不毛な尖閣ナショナリズム」が特集だが巻頭の石川文洋氏の「私が見た沖縄の本土復帰40年」しみじみと読む。尖閣特集で言へばどぜう首相が北京での温家寶首相との階段で尖閣諸島を「日本固有の領土」と日本政府見解伝へたのが問題、と指摘するのが元外務省国際情報局長で元防衛大学教授の孫崎亨氏。日本は「1885年以降現地調査を行ない、これらの島々がどの国の支配も及んでいないことを慎重に確認した上で、1895年沖縄県編入した」のであり「日本国有の領土」ではなく、この1885年からの行為によつての領土化が国際法上は通じるもので「固有の領土」などと発言して中国を刺激すべきではないこと指摘。確かに。だが「右派メディア・論者は「中国=敵」という図式を前面に出すことで曖昧さのない主張を好む有権者、読者からの支持を得て政治的ポイントを稼ぐことができる。これに対し、問題を表面化させないことが長期的には解決に資すると考える者は「利敵行為」という右派からの非難を覚悟しなければ自説を明言できない」(熊川元一)ヘンな世の中。だが尖閣(釣魚台)は海上覇権を狙ふ中国にとつては捨てられぬカードになつてしまひ、その中国相手にもはや日本が「尖閣諸島は日本領土で主権、領土の問題は存在しない」などと主張していても何も問題は解決されず「すべてを、無条件で話し合うべき」と東郷和彦氏。週刊金曜日といふと左翼でもかなり偏つた印象があつたが間口の広さに一寸、驚いた。
▼團藤重光・元最高裁判事逝去。齢九十八。伊藤乾氏が朝日の追悼記事で

先生の刑法学上の業績として知られる、カント以来の「旧派刑法学」とダーウィン進化論以降の「新派刑法学」の対立を調停した「人格的責任論」などの仕事が、戦後ヨーロッパで高まった「ポストモダン」の思想と深く根を一にしていること。早くからフランスのバルトやフーコーを同世代思想家として認識していたこと。彼らとも関わりの深いミッテラン大統領や、ミッテラン政権で死刑を廃止したロベール・バダンテール法相との出会いと、彼らとの深い共感……。

と書かれてゐる。日本の法曹界といふと勝手な想像だがフランス思想とは遠いイメージなのはアタシだけかしら。

週刊 金曜日 2012年 5/25号 [雑誌]

週刊 金曜日 2012年 5/25号 [雑誌]

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