富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

「荷風よもやま話」嶋中鵬二の妙

fookpaktsuen2012-04-18

農暦三月廿八日。最近、塩麹が評判の由。陋宅でも晩は肉骨茶を茶にせず塩麹で。晩に荷風全集(岩波書店)別巻付録のCDで荷風散人の朗読で日剩昭和廿年八月十二、十三日と嶋中鵬二相手の「荷風よもやま話」聴く。荷風全集は昭和のものが陋宅にあつたが平成の新版に別巻が付き別巻のみ入手のもの。嶋中といへば鵬二の父の雄作が荷風や谷崎を支援、その中央公論の二代目、鵬二相手に散人、ほんとうに「しょーもない」四方山話。米仏遊行のころのナオンの話から銀座のカフェの女給と浅草のロック座の踊り子の違ひ云々。興味深いのは荷風散人の軽妙な江戸言葉よりも嶋中の散人に向かひ「先生、なか/\あちらの方もまだお盛んなようで」の「げすよ」口調の老練ぶり……だが話題が「文化勲章いたゞいて」で1952年授賞の数年後だと思ふと鵬二は弱冠三十代前半!といふこと、驚くばかり。
石原慎太郎が都で買収と宣つた石原新島(旧:尖閣諸島)につき香港では扱ひは予想以上に冷静(蘋果日報こちら)。すでに狂人視されてゐる証左か。それでも“Tokyo plans to buy disputed DIaoyu Islands”なんて記事(SCMP)を見ると「これは石原の狂言で東京の意志ではない」と言ひたいが石原に共鳴する輩少なからず。あれを強さと誤謬とは民度甚だ低し。この狂言をば社説で取り上げたのは全国紙では朝日のみ(こちら)。読売産経が飛びつきさうだがさすがに一歩退いたのかしら。それでも記事では「中国反発は「半分くらい宣戦布告」と石原氏」と読売新聞(こちら)。中国側の反発に「アメリカは沖縄の一部として(日本に)返したのに……」と結局、米国頼みなのが日本男児として情けない。

補遺二 永井荷風―人と作品/書簡宛名解説索引 (荷風全集 別巻)

補遺二 永井荷風―人と作品/書簡宛名解説索引 (荷風全集 別巻)