富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-09-30

九月三十日(木)晩に尖沙咀。K氏とBiergartenに一飲してから泰豊廔でT女史、Z嬢と涮羊肉。品川I君来港でK氏Z嬢と三人でペニンスラホテルのバーで一飲。
▼ビル=ゲイツと投資家ウォーレン=バフェットが訪中。中国の富豪ら招き慈善パーティ開催。日の当たるところに出ること能はぬ様々な事情ある隠形富豪ばかりか慈善基金への寄付募るが寄付を強制されるのでは?と少なからぬ大富豪が出席辞退。目立ちたがりの富豪は北京でのこのパーティに参加したが結局、Bill & Melinda Gates Foundationに資産の半分を寄付なんて富豪は中国で一人も手を挙げず。慈善ディナー失敗は当然か。ドレスコードがBusiness attireとあるのに記念写真でポロシャツにスニーカーでバフェットの横に企つ礼儀知らずな若造は誰か、と思へば陳光標(黄埔再生資源董事長)の息子。ところで今回の米国の超富豪の訪中、北京に往く前に深圳に立ち寄り。その際、天安門事件の学連リーダーの一人で米国に亡命し投資家となつた李祿もこの二人に同行で亡命後、初の帰国。これにつき陶傑さんが面白い指摘をしてゐたが蘋果日報が一面トップに「李祿回家」大きく見出しを掲げ副題で「美國股神畢菲特護持下」と書いてゐるが李祿が誰か八十後の世代など誰も知らず畢菲特(バフェット)こそ時の人で、正しくは「美國股神畢菲特護持」が大見出しで「李祿回家」だらう、と。確かに。ちなみに李祿は深圳にこそ入つたが政治的敏感で北京には戻らず米国に帰国の由。
▼太古坊のArtisTreeで「我的家在紫禁城」なる今ひとつコンセプト不明の展覧あり(こちら)一昨日ちょっと参観。何鴻毅(Robert Ho)家族基金がスポンサーで贊助で北京故宮博物院の提供受け香港で子どもから大人相手に世界有数の宮廷建築である北京の紫禁城に親しみをもつてもらふ……って何よ、それ、で事実、今ひとつウケてをらず。満州族の異民族支配の象徴たる紫禁城で従前のいはゆる「支那」的なものとは一線を画すが、首都の象徴といふことでこの「我的家在紫禁城」も香港の愛国国民教育の一環なのかしら。ところでふと思つたが、その異民族的な北京の宮殿が中国共産党には良く似合ふ、ってのがまたオツなところ。
朝日新聞の下品な天声人語北朝鮮罵倒する文章で北だけでは飽きたらず

他方の一党独裁国家、中国も、国際協調にそむく奇っ怪ぶりが止まらない。共産党内には権力闘争があり、貧富の格差による民衆の不満は募る。そんな中で、対日外交はナショナリズムも相まって「地雷原」にたとえられる。尖閣問題での弱腰は、失脚につながりかねないのだと、理由の一端を聞く。

と、指摘する点には中国的内情の事実もあらう、が天声人語という立場でもう少し言葉の綾といふか、ないものかしら。北朝鮮の報道を見れば見るほどテッサ=モーリス=スズキの

北朝鮮にかかわる報道は、それがあたかも質の悪い戦争報道であるかのように、「脅威としての敵」か「笑止の沙汰としての敵」の姿しか提示しない。隣国である北朝鮮市民の日常生活についてはほとんど教えられることがない。

といふ指摘が深く思へる。尖閣=釣魚は、それと同じやうに「自国領土」といふ前提でしか東海の島々を誰も見ておらず。そのなか東郷和彦(元外務省条約局長)が

日本政府はいま、尖閣諸島をめぐって「領土問題は存在しない」と言い続けている。これは冷戦末期、ソ連のグロムイコ外相が北方領土問題で日本に対し言い続け、私を含む当時の日本人が皆、激しい屈辱感と怒りを感じた表現である。日本の政策の実質は、中国を刺激しないために日本人を尖閣諸島に入れないという、驚くべき柔軟姿勢である。だが、「領土問題は存在しない」という立場のため、知日派中国人の理解すら得られなくなっている。平時なら別だが、武力衝突を視野にいれたぎりぎりの外交をするときに「グロムイコの屈辱」を中国に味わわせることはやめなけばならない。前提条件なしに、双方が言いたいことは率直に言い合う外交努力こそ、いま求められている。

と指摘。御意。また、李怡さんが

筆者估計,撞船事件後,日本在朝野、輿論一片支持之下,在美國明撐和東協暗助之下,只會對於在釣魚台海域行使管治權更加肆無忌憚。至於中國,正如韓寒所說,「一個對內不能和平遊行的民族,他的對外任何遊行是完全沒有價值的。」中國政府背後缺乏民意支撐,而在國際社會眼中,中國政府則是沒有人民投票授權的政府,它在撞船事件上的「贏」,也就等同袪船長以撞日本船去宣示主權一樣,是阿 Q式的精神勝利。(蘋果日報

と中国の「勝ち」を阿Q精神に例へたのが鋭い。
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