富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-06-04

六月四日(金)曇。早晩にFCCに独酌。軽食を夕餉とす。尖沙咀文化中心。北京京劇院「程派」公演。六四に合わせヴィクトリア公園に市民鳩めさせる策略でもあるまひが今晩は「鎖麟嚢」を通しで程派の大看板・遲小秋が演る薛湘靈だから盛況。遲小秋は京劇の女優の中ではもはや別格の凛然さと程硯秋からの「程腔」伝承した歌唱の見事。「鎖麟嚢」に先立ち程硯秋(1904〜58)の半生纏めた映画上映あり期待したが今ひとつ。程硯秋(左の写真)といへば梅蘭芳、 筍慧生、尚小雲と並ぶ戦前の北京の「四大名旦」の一人。北京の没落した宦官貴族の家に生まれ幼くして父を亡くし貧困のなか六歳で戯芸院に預けられ十一歳で登台演出。芸名は「菊儂」。後に「艶秋」は「艶於秋音厥為菊」から(このへん久が原のT君の琴線に触れさう)。美少年で評判となつたが高音の出なくなる変声期の頃が難しく師匠(榮蝶仙)に上海に遣られさうになつたが程硯秋の才能と美貌に文人・羅惇曧(羅癭公、1872〜1924)の知遇を得、羅癭公が謂はゞ見受けして学芸に精進させ十代後半にブレイク。梅蘭芳が美貌の女形なら程硯秋は六代目(菊五郎)といつたところ。
▼信報が社説「悼六四 哀香港変質」と嘆くのはかつて一定の包容さをもつた政府・官憲側と六四追悼主催者側の政治的対立、さらに「抗争」的姿勢が露骨となり支聯會の「民主女神像」の押収などやり過ぎ。中文大学も「政治的中立」を理由に学生の運動を拒むが大学が組織として政治的中立や政治活動をせぬのが道理で学生の政治運動を拒む情けなさ。香港の自由と包容こそ中国の現代化に最大の貢献があるのであり六四の追悼活動に何を恐れるのか、と。御意。
ウアルカイシ関の六本木の中国大使館侵入。一瞬「北尾」か、と思つた。中国への入境拒絶されるウアルカイシは中国大使館に言はゞ逆亡命?することで大使館の庇護ならぬ中国への強制送還を狙つたのか。よくあの肥満で1mの柵を乗り越えた、がそれで警視庁も建造物侵入での逮捕も無理があらう。中国大使館もウアルカイシの身柄拘束すると面倒なので警視庁のこの対応はありがたい外交的配慮かしら。

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