富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-12-03

十二月三日(木)夜明けの頃、西空に見事な十六夜の朝月。曇。また薄ら寒。早晩に中環。Colorsixで写真現像受け取り黄枝記に咖喱牛腩麺食し久々にFCCハイボール一杯。新聞読み。晩にこれまた久々に尖沙咀。香港文化中心。九月以来の香港フィル&エド=デ=ワルト指揮の演奏会。前半はOsvaldo Godijov(1960〜)の“Last round - for string orchestra”なる管弦の立ち演奏の曲。よくわからず。中入り後はマーラーの「大地の歌」。中学生くらゐからアタシが繰り返し聞く好きな曲。もう三十年くらい前かしら寿屋がウイスキー「ローヤル」の宣伝でこの「大地の歌」の「青春について」をシナ風のアニメーションと合はせCMに使つたのはかなり見事で驚いた。その後もずつと愛聴するがレコードからCDで当然のやうにブルーノ=ワルターからオーマンディー、バーンスタイン……でフェリアーやパツァークが歌ひ維納フィルばかり記憶に目立ち、で実演はこれまで一度も聴く機会なく……で今晩、香港フィルが初。デ=ワルトはんがワーグナーに力を注いでをり「大地の歌」なんて珍しい演目でしかもシナ趣味であるからそこ/\の反響ありかしら、と思つたが客の入りは今二つ。メゾソプラノはSasha Cookeで期待以上になか/\。テノールが当初、Robert Dean Smithといふ歌手のはずがStephen Gouldになり更にアクシデントあり急きよ何某氏(名前聞き取れず情報なし)に変更。香港フィルなりの「大地の歌」を期待したが、このオケの躍動感の闕如が問題。踊るところは踊る、歌ふとこは歌ふ、演歌のやうにコブシを利かせて……といつたことが出来ずそこ/\に演奏するからつまらない。この「大地の歌」なら香港のオケなのだから「美について」 や「春に酔へる者」はもつと曲調の

曾徳成(右二)到伊館撐場,在空椅群中木無表情。

シナ趣味を出すと面白いし、花鳥風月、花が咲き鳥が飛び歌ひ粋人が酒に酔ひ……といふ世界なのに。デ=ワルトさんも何だかこの曲ですら並の指揮で楽団を踊らせるやうな手腕に欠けてしまつて(一昨年だつたかの「薔薇の騎士」は良かつたのに)。演奏会跳ねたあとスターフェリーで香港島に渡らうとすると尖沙咀の沿岸で何だか東アジア競技大会の関連イベント。銀色だかに染めた漁船?何隻も並べて浮かべ船上に照明に照らされ鳥がまるで海を渡るやうに映る。がよく見たら竿の先に鳥をつけて黒子が人力で遊ばせて……なんてエコロジーといふか涙ぐましい演出といふか。で第五回東アジア競技大会は昨日、香港で開幕(正式な開幕日は明後日)。初日に北朝鮮対日本(U20)の蹴球の試合などあつたが各会場とも集客今四つで閑散。盛り上がらぬにしても主催者側のチケット販売や動員にかなり粗忽あり早くも曾徳成「極左」民政局長の責任問ふ声あり。曾徳成ハ親中御用政党民建聯ノ事実上ノ領袖デアル曾鈺成ノ実弟ナリ。
▼今朝の蘋果日報に「練乙錚自爆封筆」といふベタ記事あり。信報の主筆、練乙錚氏が昨日、連載の中で自ら退役表明の由。昨日の信報読んでゐたが練乙錚の芸風がアタシは苦手でほとんど連日読み飛ばし。先月下旬から林行止の専欄の連載が中断してをり外遊ださうだがそら/\林行止の引退も近からう、その信報の看板連載引き継ぐはずの練乙錚だが、落語でも同じ「らくだ」でも談志と志ん朝ぢや全く違ふわけで、同じネタでも行止さんだと門外漢でも面白く読めるが乙錚さんは真面目すぎてどうも面白みに欠け、行止先生引退後本当にこの人が襲へるのか、と思つてもゐたが突然の封筆。慌てゝ昨日の記事読めば十月末の信報の役員会で次年度の契約の件となり練氏は会社側のオファー断りもう少し在職して離職を求めた由。二年前に練氏が信報に復職はちやうど李嘉誠次男のリチャード王子が信報買収の時期に重なり練乙錚復帰が林行止近い将来引退のための布石なのはアタシにも察すは容易([http://d.hatena.ne.jp/fookpaktsuen/20071206:title=こちら])。で当時、練氏の連載を数日続けて連載読んだアタシが
感想は「メリハリも華もない」。林行止氏と比べはせぬが「証券会社による企業の格付け」とか綿密に分析しても「それぢや、どうなのよ?」といふ話の極みに欠けるのが残念。林行止がウンコの話も経済学で面白可笑しく書くのだから後を襲ふは難しいところか。
と書いてゐたのを読み返したが、で二年間ずつとその調子。で練氏は本人曰く経営陣の交替も順調に進み過渡期の紙面論調に参画できたことで一先づ筆を置き今後は「特約評論員」扱ひ。で今後は香港科技大の雷鼎鳴教授、信報前編輯長の邱翔鐘、そして陳雲先生!の三人体制ださう。陳雲は楽しみ。それにしても香江第一筆と賞された林行止を襲ふことがどれだけ難しいことか。

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