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十一月廿三日（月）夕方、鰂魚涌。ライカ香港代理店のSchmidt Marketing社のサービスセンター訪れる。Leica扱ふ会社なのに会社のロゴはおそろしくダサい。昨晩、持ち歩いてたM6を帰宅して拭いてゝ（偉いね、伊兵衛先生のやうだ）ファインダー選択レバーがなくなつてゐるのに気づく。昨晩はFCCでライカをうつとり眺めてもゐたがノクトンの口径の大きなレンズがついてたんでレバーなくなつてゐることに気づかず（このへんが素人）自宅で床やカメラ収納庫など舐めるやうに探したがレバー見つからず。で正規のサービスセンター訪れたわけだが「中古は鳥渡」なんて言はれはせぬものかとおど／＼、がきちんと応対される。修理依頼して目の前がEast End酒場だが日が短くなつた、といつても未だ明るく人目憚る時間で「日本は勤労感謝の日だ、ちよつとエールでも一杯」と思つたがで躊躇。ところで勤労感謝の日＝新嘗祭。陰暦の十一月の二つ目の卯の日のはずが新暦以降で陰暦のこの日ぢや新暦で正月過ぎてしまふ、と太陽暦の十一月廿三日にしちまふのも滑稽。帰宅して日本酒を常温、も台所も寒く冷や酒で一杯。晩は豚汁など。NHKのNW9の冒頭ニュースが紅白出場者決定はつまらないが「放送権の都合で」と国際放送では画像切れたが音声だけで聞こえてきたのは懐かし、間違ひなく森繁の「フラメンコかつぽれ」。Youtubeで確認したら間違ひない、これ。アイ＝ジョージさんのフラメンコギターがお見事。森繁さんも先日つひに亡くなつたが俳優としても歌手としても間違ひなく素人芸の延長でスターになれたのがこの人。「知床旅情」なんて曲をさつと作つてしまふところも素人上がりのシンガーソングラターのはしり。「フラメンコかつぽれ」から続けて眺めたマキノ監督の日活映画「人生とんぼ返り」もやはり五十鈴ちやんを對手に森繁の芝居の下手さ。これが鴈治郎（二代目）だつたりしたら痺れるところだが。で五十鈴ちやんも凄いが娘役の左幸子のまぁ芝居の上手いこと。フォーカスが合つてもゐない遠くの土間の演技まで冴える。NW9といへばキャスター男女のキャスターとしての失格がいつも不愉快だがペルーの高山に東京大学の赤外線使つた天文台云々取材して報告するNHKの科学文化部の新本貴敏の手振り交へた話しつぷりが見事。聞き役のキャスター田口某の不愉快さうな表情もまた笑へる。
▼高円寺南の雑居ビルの火事。午前九時に居酒屋から出火し焼死者……と一瞬、高円寺で飲んだくれの知己の誰彼と顔が浮かぶのが怖いところ。

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