富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-09-14

九月十四日(月)颱風香江直撃かと思へば少し西に反れさうだが颱風接近で風強く午後から雨模様。夕方風雨激しくなり昏刻には八號警報発令と天文台が予告。早晩に散髪。ご亭主に「そろ/\八號になるらしいですよ」と伝へ散髪が始まるとご主人「それぢや八號になつたら店仕舞ひでそこまで、と」と宣はれる。ドリフの「もしもこんな床屋があつたら」で閉店時間と同時に散髪途中で止める床屋、も面白いと大いに笑ふ。銅鑼湾の開益書店にて陳雲著「執正中文」と白先勇の自選集「昔我往矣」の二冊購ふ。帰宅ラッシュが颱風での馳せ帰宅に重なり路線バスなどかなりの混雑模様。昨晩に続き野菜茹で食す。吉田秀和さんの『水戸の― 空・風・人』を読む。水戸芸術館の運営母体である水戸市芸術振興財団が芸術館の館長である秀和さんの、芸術館開設準備から今日に至る記述や挨拶を纏めたもの。1990年に水戸芸術館は開館したが芸術館は1995年に55歳で亡くなつた佐川一信といふ稀代の市長による事業。30代後半から地元の水戸で市民運動をば始め、それは菅直人と似てゐる、44歳で水戸市長に当選。この人ならでは、で水戸芸術館開館させ、市長職は三選まで果たしたが茨城県知事選立候補のため市長を辞し県知事選に負け三年後に病死。この時に佐川に勝つたのが今回八月末の衆院選挙と同時の県知事選で全国で現役唯一の五選果たした橋本昌。この1993年の県知事選は同じ水戸出身で東大から自治省官僚の橋本と早大から法学の学者肌で市民運動派の佐川の良い勝負だつたが自民党と当時の新生党新党さきがけ日本新党といふ今で考へたら大聯立のやうな推薦を受けた橋本が競り勝つたもの。閑話休題。地方の県知事選挙の話題はどうでもいいが兎に角、この佐川一信がゐたから芸術館がどうであれ出来たわけで、佐川氏の三万冊の蔵書と一万枚といはれるクラシックCDは今も地元で佐川未亡人や有志らが「佐川文庫」として運営、蔵書公開などしてゐるが、この市長の熱意に江戸つ子で鎌倉に住まふ秀和さんが館長引き受け早二十年近くにならうとは。その音楽のためのホールは秀和さんによれば高橋アキが音響の良さでは大阪いづみホールと並べて挙げたのが水戸芸術館で、演奏会前日のリハであんまり音の響きが良いのでリハが終はつても長いことシューベルトを弾いてゐた、といふ。高橋アキの兄が先日、水戸のこゝで演奏した時のことは母から聞いた話をアタシもしばらく前にこゝに書いたはず。磯崎新の建築で秀和さんが館長といふ、そんなホールが出来てしまつたのだから凄いこと。だが残念なことに芸術館が出来て市街が活性化するはずが周囲の市街がすつかり萎んでしまつたまゝ。芸術館も音楽、舞台と美術の発表が続いてゐるのは良いがHP、入場券のデザイン、職員の制服をば一見しただけでセンスの悪さが残念でならぬ。

▼先日どこだつたかの書店で「說葡萄酒的語言─意太利篇」といふポケット判の葡萄酒指南本見つける。伊太利の主だつた葡萄酒紹介するのだが何が可笑しい、つて葡萄酒の名称から酒荘、葡萄の品種まで伊太利語で表記される全ての言葉が付属のCDで伊太利語の発音が聴けて覚えられる、といふ。伊太利語はまだ発音真似るのはローマ字読みで楽だがアタシも何が苦手かといへば法蘭西語。ブルゴーニュでDomaine Geantet-Pansiot Charmes-Chambertinをドメーヌ ジャンテ=パンシオ シャルム=シャンベルタンとカタカナ読みが精一杯で、どうしても法語のあの響きにならぬ。昨日綴つたHappy Valleyの葡萄酒商の店員が丁稚からの手習ひか流暢に法蘭西の葡萄酒の銘柄など口にするのが癪で、この「說葡萄酒的語言─法國篇」があれば、と探したがその書店、さう/\時代広場のPage One書店であつた、には在庫なく、それを数日前にこれもどこだつたか失念の書店で「法國篇」見つけ早速く購ひiTuneも昨日直つたのでiPodで聴きながら葡萄酒と法語の俄か勉強。

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