富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月九日(火)アタシのところも会計検査院の09年3月期の監査報告も近く出づれば今年度補正予算案もあり忙殺されるまゝ日暮れ迎へ辟易と帰宅しタンカレーマティーニ二杯。鮪の中落丼食し菊正宗ぐびり。NHKの無節操無教養ニュース娯楽番組NW9はמאראקאמי האראקיさんの長編新刊『1Q84』取り上げ「なぜこんなに賣れるのかっ!」ってアンタら挙つて取り上げ煽るからに決まっとるやんけ。『海辺のカフカ』の文庫版発売開始直ぐに日本橋丸善で上下二冊購ひ成田から香港に戻る機内で読みつ佳い意味「変態小説」に驚いたが、また新作を讀むかしら。天気予報で沖縄は梅雨明け、西日本から徐々に梅雨入りと伝へるが、沖縄の初夏のこの雨の季節つて果たして本当に「本土」的な意味での梅雨なの? 台湾から南の感ぢの雨期ぢゃないのかしら。ぎゃくに台湾でぢいさん婆さんが雨期を梅雨と呼んでゐたり。
フェロモサの梅雨も明ければ早稲みのり           とか、季語二つもあり、駄目。
フェロモサの梅雨晴れて海の遠く日の本ながめ何処にぞ我   とか鳥渡、釈迢空っぽく。
今晩七時に翡翠台放映の香港電台製作の番組“Food & Science”録画見れば牛肉は焼くより鹽水に浸け凝縮せし肉を摂氏七十度くらゐの温水で煮つたものの美味さ、また牛肉のドライエイジングの滋味など取り上げ、入江さんや斎藤さんが米国で食す牛肉の醍醐味つてコレなのね、と思ふ。そのあとクライバー指揮の維納でブラームスの4番聴いてゐたら、音量下げたまゝつけッ放しのテレビでNHK歌謡コンサート鳥羽一郎が歌つてゐる。ブラームスの4番の第2楽章に合わせ歌ふ鳥羽一郎の奇っ怪さに悪酔ひしたか何年ぶりかでブランデーで鶏尾酒、スティングァなんて飲むぢまふ。ワルテル指揮、維納のマーラー大地の歌』聴く。数日ばた/\してをり、ってどこがばた/\なのか、と我乍ら日剰の記述讀み返し思ふが今になってやうやく日曜の安田記念のウオトカの勝ちつぷり拝見。ありゃ何だ、の最後のあの位置、あの状況からの勝利。ディープスカイとか他の馬が一瞬、スローモーションになったやうな錯覚すら覚える。香港もウオトカの単勝HK$17、ディープスカイとの連複HK$40で香港馬の立ち入る隙もなし。
▼文兄より久々に唐突に、源氏なら明石の巻か、垂水が蹴鞠の師なる男、の話あり。いたいけな十四才がぢぶんのいふことをなにひとついひわけもせず蹴鞠に精をだす姿があまりにもいとほしふて、つゐそばにをいて置きたうなつた、が椿事、文兄曰く、違ふ球を握りて精を出してしもふたんかの、と。われ、チョーサンもさだをか、と答へしに、文兄、王(わう)がゐぐちに、ねぇ、おーシュレットだけに、と。思はず、王シュレット使つたあとはながしませう、掘り撃たれゝば腹もたつのり、と答へれば文兄に駄文讃められ甚こそばゆいおもひ。
三井住友銀行の頭取まで務めた銀行家を自民党が民営化した郵政の社長に迎へ、その御仁にかりに何か波風があつたにせよ本来であれば自民党や財界の有力者の間で「まぁそりゃアンタなぁ、西川君だつてお国のため、と難儀な仕事を受けてくれたわけだし」と解決するのが善かれ悪しかれ日本の戦後政治の常道であつたとするなら小泉三世がまさにぶッ壊した自民党は芸能人の泥酔椿事に激怒するくらゐが器の総務相がマスコミ相手に西川氏非難ぶち上げるどころか「街頭演説で人事問題を論ずる」前代未聞( Ⓒ加藤紘一君)。自民党も末期的。だが代る野党の不甲斐なさも更に末期的。次ぎの総選挙で一票を投ずれるは、きゃうさむ党くらゐかしら。

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富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/