富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-05-30

五月卅日(土)明空。午前中少し走りジム。昼にZ嬢と尖沙咀の韓国料理「豊園」に食す。午後から快晴。だが汗をかくほど暑からず、米国カリフォリニア州の如し。午後に打合せ一つ。請け合ひ仕事のゲラ確認の要あり銅鑼湾の日本人倶楽部のラウンジがWi-Fiあり其処で済ます。中環。HMWでキーシンのピアノでアシュケナージ指揮、フィルハーモニア楽団のプロコフィエフのピアノ協奏曲2、3番のライブ(08年)のCD、日本のアマゾンで今月25日だつたかの発売の先行予約で3,000円がHK$99とお買い得。一緒にアルゲリッチの1967年の録音で同曲とラヴェルのピアノ協奏曲ト長調アバド指揮の伯林フィル、と「夜のガスパール」の1枚、それにiTuneではすでにダウンロードして所有してはゐるが「やっぱりCDで欲しい」はGustavo Dudamel指揮でSBYOV演奏のマーラーの5番。FCCで香港に長く住まはれた写真家Robin Adshead(1934 - 2005)の60〜70年代の香港の風景写真展あり。それを観る。来港中の和仁廉夫さんがバーに来られSanta CarolinaのSau Bl を結局、一本飲み干したくらゐ歓談。和仁さんから聞く話がとても面白い。来客あり帰宅して「おでん」煮て食す。
▼先日読了の堀田兵衞さんの『上海にて』より断章。
(日本の中國侵掠について)「……中國戰線は、點と線だといふけれど、點と線どころか、こりや日本は、とにかく根本的にぜーんぶ間違つてゐるんぢやないかな。この廣い、無限永遠な中國とその人民を、とにもかくにも日本から海を越えてやつて來て、あの天皇なんてものでもつて支配出來るなどゝ考へるといふのは、そも/\哲學的に、第一間違ひではないかな。」
(都會の魅力について)都會の魅力、あるいは神祕は、必ずといつていゝほどに住民のある部分がまつたく非生産的な、ひよつとして公けの保護を得られないかもしれないやうなことに從事してゐること、それから、要するに社會から放つたらかされてどん底の暮しをしてゐること、などゝ斬りはなしがたい關係があるのである。
(終戰勅語について)しかし、あのとき天皇はなんと挨拶したか。負けたとも降伏したとも言はぬといふのもそも/\不審であつたが、これらの協力者(アヂアの親日協力者のこと……富柏村注)に對して、遺憾丿意ヲ表セサルヲ得ス、といふ、この嫌味な二重否定、それつきりであつた。その餘は、おれが、おれが、おのれの忠良なる臣民が、それが可愛い、といふだけのことである。その薄情さ加減、エゴイズム、それが若い私の躯にこたへた。

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