富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2009-05-10

五月十日(日)朝の八時半に黄大仙。七名で獅子山(ライオンロック)まで上り平坦は走りBeacon Hillを越え二時間で大埔道に出る。城門水塘に正午前に到著。一向は水塘の周囲9kmほど歩いて終はる決定がアタシは「虚弱体質なもので」とこゝでお終ゐ。荃灣に出ると、いつも山西刀削麺なのだが清龍清湯腩といふ牛腩と咖喱の評判の店があり此処で腩河食す。牛腩のかなり脂で出汁が出てゐてもあつさりの味つけ。午後はプールで泳ぎカフカ短篇集読む。晩は自宅で揖保の白糸。
▼日本での新型インフルエンザ感染の確定。なぜ「香港で」の時より新聞の扱ひが小さいの?(朝日新聞
▼朝の黄大仙も午後の深水埗も、なんだか法輪功の方々がいつにもまして大々的、と思へば本日はご尊師様のお誕生日の由。なるほど。北京中央に対して反政府的な法輪功だが香港警察は彼らの活動を集会やデモなど保護する。自由社会であり立憲法治の基本ね。
▼警察の裏金づくり告発し窓際職扱ひ受け定年退職迎へた愛媛県警の巡査部長。職員会議での挙手・採決禁止は言論統制とした意見や教育の反動化に反対した姿勢が危険視され定年後の非常勤教員としての再雇傭拒まれた都立高校長。兎角かういふ人たちは嫌はれる。管理する側だけぢやなく「良心的な」ご近所も「いゝ人なんだけどねぇ、なんで、こんなことになつちまつたんだか」的に嘆いて見せるのは戦前も今も日本では何も変るまい。さうした反体制な人にスポット当てる朝日新聞も左翼偏向か。今日読んだカフカ短篇集に「掟の門」といふ小品あり。ある門を通してほしいと何年も生涯をかけて門番に請ふ男。誰もが掟を求めてゐるのにどうして私以外の誰一人、中に入れてくれといつて来なかつたのです?と門番に問へば「他の誰一人こゝには入れない」と告げ、その理由は「この門はおまへ一人のためのものだからだ」と教へる。インフルエンザであれ社会体制であれ、日本の社会つてこの「掟の門」そのものかしら。
▼香港の性教育について。日本では性行為や同性愛許容まで教へる性教育が左翼偏向と保守反動の諸君の間で問題視されるが、香港では小学二年生に「常識」といふ科目で「どういつた行為が性犯罪か」を教へる。ameiyipさんのブログより(こちら)。
露體狂、いやらしい目でじっとみつめる、太股をなでる、スカートをめくる、着替えを覗く、アダルトビデオを見せる、服を脱げと言う
……といつた行為が戀兒癖のある大人に「されること」ばかりか、怖いのはこの列挙された項目はスカート捲りや出歯龜など、どう見ても子ども間の他愛ない悪戯程度の行為も性犯罪のレッテルを貼ること。テロや新型インフルエンザの犯罪化と同じく、かうした<性行為の犯罪化>もヴィクトリア王朝以降の現代の怖さ。フーコーが指摘した、このやうな狂気にわれ/\はどう対処できるのか? ameiyipさんのご子息が教師に「先生、うちのパパとママ両方ともこれぜんぶ俺にしてきます」と答へた由。白眉。露出はパパとの連れション、両親は息子を「いやらしい目でじつと見つめ」身体ぢゆうを撫で回し、着替えも愚図だからずつと見張られ=覗き、香港の多くの映画は暴力や麻薬絡みならIII級=成人指定だからアダルト映画を見たことになり、風呂に入れるには服を脱がす……慥かに両親の行為はすべてが性犯罪か(笑)。

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