富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月廿五日(水)台風「風神」香港北東50kmだかに上陸。暴風雨。昼前に台風警報は3に下がる。机まわりの片付けと思つたら何かと諸事に忙しい。雨は終日歇まづ。早晩に雨を眺めつつ日曜に広州で仕入れたイリヤ=カーレルの演奏するパガニーニをしみじみと聴く。野菜豊富な夕餉でNZのSunshine BayのSau B 07年を飲む。
▼映画監督の土本典昭氏逝去。享年79歳。学生の頃に左翼系市民団体主催の六ヶ所村の核燃料再処理施設建設問題の集会にゲストとしていらつしやり惺かに公害問題を語られてゐた。朝日の弔報で佐藤忠男氏が「水俣 患者さんとその世界」を日本のドキュメンタリー史上の傑作、としたうへで曰く
被害者と徹底的に心を許し合はないと、真の心情に到達できないといふ原則に立ち、客観的描写といふ旧来のドキュメンタリーの常識を覆した。生前、被害者の気持ちや痛みの「絶対値」を描くと語つてゐた。ドキュメンタリーは報道にとどまらず、共に行動し、運動を作り出すものだといふ信念を貫いた。
テレビでも、この姿勢はかつての報道のTBSであるとか今では想像もできないが日テレのドキュメンタリー日本とかにあつたもの。先ほど最高裁がうやむやにしたNHKのドキュメンタリーの政治性の問題があつたが、ドキュメンタリーが偏向してゐることはある面では必然性か。

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