富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-02-04

農歴十二月廿八日。立春。寒さ続く。風邪は少し回復の兆し。用心して早晩に帰宅して休養。岡本綺堂の明治劇談『ランプの下にて』少し読む。同書は確か昭和10年だつたか岩波文庫もあるがアタシが入手は昭和40年の青蛙房刊、初版本箱入り美本で、いまではもう到底あり得ぬ見事な製本ぶり。
蘋果日報で尊子が、昨年中国でテレビ放映されブームになつた「大國崛起」捩り、雪の凍土のなかでカネはあるが寒さに喘ぐ中国を一コマ漫画に。今年の寒波が半世紀ぶり、中共になつて最も厳重とはいへ、旧正月の3億の民族大移動、石炭だの冬場の燃料輸送、基幹産業への打撃だの考へると雪害への対応の遅れなど「21世紀の世界の工場」としては問題多し。この四半世紀の経済発展での様々な未解決の問題がかうした災害や疫禍にて露見される。がその中国の産業に依存する私らの生活。日本とて対岸ばかり憂ひておれず、例へばNHKのNW9で連日取り上げられる毒入り餃子問題。毎晩、冒頭で「また新たな事実がっ……」と深刻な一言のワンパターンから始まるが、この「報道」のうち何処までが事実経過か、実は「中国側も、有害物質が意図的に混入された可能性もあり、さらに積極的な調査をする『と思われます』」と、内容のほとんどが憶測と推量。看る側も茶の間で炬燵に丸まりお茶飲みながら「まぁ……怖いねぇ」とただ疑惑への不安の増長がマスコミ報道。スノーボードで7名行方不明も捜査は今日一日続きましたが遭難者の発見には到らず、つて遭難者の家族知人はさぞや心配だらうが「まぁ……可哀想だねぇ」だけの反響に報道番組が「なぜ消息を絶ったのか」と憶測で5分も取り上げるべきかは疑問。世の中てんでをかしいつたらありやしない。米国とて「白熱の大統領選挙候補者選び」でクリントン夫人が「学生ローンの金利廃止」なら小浜馬楽氏は「全ての国民にアメリカンドリームを」と。かつての日本社会党も真つ青の非現実的な政策?だが、大統領選挙はこれでいいらしい。
▼某男性若手芸人陳某に因む猥褻画像網上流布につき画像ゲット元手の電脳店の関係者ら検挙される。話題の主のこの芸人は海外よりビデオ画像にて被害者とな つた女性らに陳謝のうへ画像入手しても流布せぬやう、ダウンロードしたら消去するやう訴へる。芸人生命にかかはる一大事のやうだが信報で誰だかが書いてゐ たがクリントン前米国総統の不倫同様、事件後も本人の反省と誠実さの「売り」で好感度上昇なきにしもあらず。相手の女芸人らも、この画像暴露で嫁ぎ先からの離縁だの婚約破棄など実害ことあれ、その「清純さ」とて爾来市井の誰彼信じ るはずもなし。芸能の世界に足を突つ込むことじたい、廓と同様、華々しく花よ蝶よと目出度い分、さう易々と足を洗へるものぢやなし。鬼か蛇か、地獄の底までの行き来こそ本来の芸道なり。ところで警察も、今晩の発表にあたつた香港警察副署長の黄福全なる御仁(まことにお目出度い姓名)も公僕どころか「えつ?」といふほど芸人の如し。押収のノートブックの猥褻画像につき記者団の質問に答へ(もともとさういふ顔つきなのかもしれぬが)ニヤニヤと薄ら笑ひ浮かべ「1,300枚くらいあった」と答へ、相手の数は隣の副官に「何人だった?6人だったか?」と。個人の私生活に絡む事ゆゑ「それなりの数」「数名」と答へれば良い程度の筈。猥褻画像の扱ひについては、この副署長、個人で猥褻画像所有するぶんには法に抵触せぬが不特定多数に流布すれば……と「釈法」披露し、記者団の突つ込みに乗つて?「個人で所有する猥褻画像を仲間うちで一緒に見る、友人にコピーして渡す程度なら問題ないが、一般的に言って、ネット上で接触する不特定多数は友人でもなけりゃ、こりゃ公衆。そこに画像掲載すれば当然……」と、まぁ活弁。警察も警察ならマスコミも芸人追撃は見事で一昨年11月に話題のこの芸人陳某が中環の電脳店に電脳修理に訪れ電脳を店員に託す場面の写真があつた、と披露。当時の没ネタが今になつて重大証拠か。全てにわたり呆れて言葉もなし。

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