富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2008-01-30

一月卅日(水)極寒。天気不良。朝の中環の風景はまるで真冬の倫敦の如し。某ホテルの理髪室で散髪。FCCにて新聞と読書。南方熊楠コレクション第3巻『浄のセクソロジー』編集・中沢新一河出文庫のうち中沢新一による解題のみ。昼頃に尖沙咀。雨は冬に珍しい本降り。ミゾレにでもなるんぢやないか、といふほどの寒さ。シェラトンホテルで放送作家M氏と待ち合はせ。多忙のM氏の来港は2年前の7月以来。オクトパスカードの記録照会で前回の利用=来港がいつかわかるのは便利なのかアリバイ崩しの証拠になつてしまふ不便なのか。それにM氏からホテルでのチェックインでも「上客への配慮」通り越した3年前の過去データしつかり照合に驚き(詳細は書きません)。でM氏と中環。鏞記で遅めの昼食。歳末だからと旧正月用の鏞記の年糕いただく。注文した鹹魚蒸肉餅、M氏が鹹魚を美味しさうに食べるので、食後、トラムで西環に参り海産食品屋街を社会科見学。鹹魚街は名前こそ残るものの店など全くないこと今更理解。中環から寒波のなかスターフェリーで尖沙咀。ペニンスラホテルのバーで一杯。買物してシェラトンにM氏一旦戻り一緒に今度は銅鑼湾。歩いてハッピーヴァレイ競馬場。第3レースまで観戦。かすりもせず。寒さと雨で場内閑散(11千人の入場者だつた由)。Z嬢来場。三人で小雨のなか歩いて成和街の益新。豪州のMitolo醸造所のReiver Shiraz 05年、と紹興酒紹興酒は加飯酒注文したら花彫酒ならある、と女給。花彫も加飯も同じ、と宣ふので加飯酒を何年も寝かせて旨味が出たのが女児紅のやうな花彫で、辛口ドライが好きだと加飯のはうがいいのだ、と教へてあげる。バラエティ、スポーツ番組の売れつ子作家だけありM氏との鼎談款語三更に至る。タクシーでM氏天后のMTR驛まで送り帰宅。
中華人民共和国建国以来の極寒。広州で見れば三十万人の驛前に溢れた帰省客、信報によれば十萬人が鳩まる区画に公衆便所一つもなし。「許多人到處找角落解決大小便」とは、まるで上杉謙信に攻められし越中畠山氏七尾城籠城の如し。信報の社説が指摘するのは自然現象は避けられぬものとして行政の対応の拙さ。風雪厳しいことは二週間以上前から予測されてゐたが気象部門、地方政府や民政部など然るべき警戒予報を出してをらず、定例のプレスリリースで御座なりな情報提供しかせぬ部署も少なからず、地方政府は未だに自分たちの安全対策の不備を指摘、報道するのがマスコミだ、といふトラウマがありマスコミ利用して有効な情報を提供しようといふ意識に欠け、情報がないから人々は疑心暗鬼で不安感だけが高まる、といふ悪循環。
放送作家M氏の話では昨日、成田からの日本航空のフライトは香港便は平常通り、だが広州便は「航路の悪天候」で運行取り消しの由。香港からわづか70kmしか離れぬ広州で雪が降るはずもなく悪天候といつても雨風。取り消しは実は悪天候でなく一旦、広州に飛べば空路の混乱で復路確保の保障もなく(飛行場の状況、燃料等々)往路の客にはまさか「復路のテクニカルな心配」理由に運行取り消しも出来ず「悪天候」理由としたのではないかしら、と猜う。
▼東亜銀行主席・李 Baby 國寶氏による、李氏本人が役員でもあるダウジョーンズ株インサイダー疑惑。英国金融時報の報道によれば李氏と米国証券取引監視委員会?との間で李氏が800万米ドル支払ふことで和解協議の由。8.4億円に相応する和解金だが昨年5月に李氏に近い人物がダウジョーンズ株の売買で得た利益とほぼ同額。米国の証券取引法によればインサイダー取引の罰金は利益の最高で3倍の額、背後で情報提供した者は最高100万ドルの罰金、懲役は25年にも及ぶさうな。

富柏村サイト http://www.fookpaktsuen.com/
富柏村写真画像 http://www.flickr.com/photos/48431806@N00/