富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2007-07-28

七月廿八日(土)Z嬢と朝七時に空港。キャセイパシフィック航空の網上での登機手続き済ませておけば預け荷物あっても出発時間のわずか45分前!に空港にお越しください、の簡便さ。空港ではマルコポーロクラブのカードで発券は数秒。見事。空港のラウンジで朝食済ませバンコク行きのCX713便に搭乗。飛行機が飛び立つまでに朝から朝日、SCMP、信報、蘋果日報IHT、FT紙まで読めてしまうのだから旅は楽し。江戸川乱歩随筆選(ちくま文庫)再読。バンコク到着。3月に開港の????????????????????(スワンナプーム国際空港)は建物外装は見事だが内装お粗末。慣れておらぬと乗り場わからぬ公共タクシー。バンコクでありながらメーター料金でなく定額制は如何なものか?と思ったが国内線専用空港となったドンムアン空港まで定額料金は500バーツ。一瞬「高くない?」と思ったが一旦ほぼバンコク市街に入り<の字に旧空港に向うので距離はかつてのドンムアンから市内、許容範囲か。渋滞などしたらメーター制よか割安かも。ただ空港のタクシー乗り場で係員に「高速料金など一切含め500バーツ」と言われたのにタクシーの運転手は「高速で行くか?」と我に質し高速料金は客持ちと宣う。「冗談はいい加減におよしよ」と澤村貞子っぽいく運転手に告げる。高速料金は新空港から市街、市街からドンムアンと2回でおよそ50バーツ。運転手にしてみれば運賃収入が1割増しになるかどうか、で客を引っ掛ける。まぁ5割の確率で客は(とくにヒトのいい日本人など特に)言いなりかしら。空港間の移動は約45分。晝すぎにドンムアン空港に着いたはいいが??????????????(チエンマイ)へのフライトは15時。とりあえずタイ航空直営の空港で晝を軽く食す。ラウンジもなければ足マッサージもない。14時半の搭乗まで待合で川添裕の『江戸の見世物』(岩波新書)読む。ザ・ドリフターズの「8時だョ!全員集合」でセットの建物が丸ごと壊れる「屋体崩し」は株式会社金井大道具という会社の製作だったそうだが、実はこの金井大道具が江戸の見世物の仕掛道具師・長谷川勘兵衛の流れだそうな。1時間要せずチエンマイに到着。メータータクシーで市街へ。チエンマイの鴨川(まさに地理的にはそうなのだ)ピン川に面したGalare Guest Houseに投宿す。部屋数廿ほどの欧州人多き宿。質素で快適。早晩に散歩しながら繁華街へ。なんかチエンマイでの「お決まり」でThe Wokで晩飯。とてもあっさりとしたトムヤンクンも美味だが、この食肆の牛肉のスパイシーサラダがアタシの好物。これでタイの地場麦酒をぐいぐい、と。それにしても、とZ嬢と語るは、チエンマイがなぜこれほど欧州人を惹きつけるのか、と。独逸から十数時間かけて来るなら、アタシなら海のあるプーケットだのクラビを選ぶが。この海もない山も中途半端のタイ北部の田舎都市。落ち着くといえば落ち着くかも知れぬが観光ズレした市街、自動車の排気ガス……とてもパラダイスとは言い難し。不思議。と言いつつアタシらも来ているのだが。十三夜の月愛でつつ宿に戻ると降雨。落雷。甘いメコンウヰスキー舐める。新聞を七紙も読み(ドンムアン空港でタイの英字紙も読んだので……そう、今日はタイ王国の皇太子殿下の誕生日だそうな)文庫本と新書各1冊が読めるのだから旅は楽し。読了の本は宿の書架に残す。
▼乱歩。推理小説家だがアタシはこの人の随筆のほうがずっと好き。カタルシスという言葉に「瀉泄」という漢語を当てるこのセンス。カタルシスについて「肉体の健康を保つ為には無用の体液の瀉泄を行わなければならぬ」と。素敵。
▼地下鉄だの飛行機だのでピコピコピコピコとゲームする輩。ガキならまだしも、いい年した連中がピコピコピコ。自慰に耽る猿の如し。耳障りな電子音。だがあの百害あって一利なしの馬鹿なゲーム機開発はソニーだの任天堂で我が国の所為。それに遊び耽る輩は或る面では呆けた被害者。南無阿弥。
▼明日は参院選挙。朝日は安倍三世が憲法改正だの「美しい日本」では票が取れぬと覚悟したか、もはやただただ候補者名連呼、と報ず(笑)。自民党が下野せば景気後退、喜ぶのは北朝鮮、と形振り構わず。“Candidates keep distance from Abe”と一面でIHT紙が語るに、高知選挙区では田村公平君が「美しい日本、よか我々に大切は明日どうやって食ってゆくか」であると指摘し安倍三世に対して“I feel he's making fools of us”と(勿論、日本語で、であるが)と安倍批判で票獲得に走るほど、と(特派員Norimitsu Onishi君による)。FT紙の参院選挙報道を読んでいて思ったのだが、参院というと日本では「参院無用論」すら語られるが、参議院とはUpper House(上院)であり参院議員はSenateなのだ、と改めて思い知らされる。ところで自民党が大敗きした場合、連立与党の公明党はどうするのかしら。一緒に下野か。だが公明党にとって大切なことは「与党であること」。細川内閣の頃に味を占めたのだろうが、公明党にとって与党であることの大事。なぜか。アタシにはわかるのだが「外交」なのだ。国政など与党でも野党でも「公明党にとっては」どちらでも良い。が「外交」は与党でないと。あまり深いことは言及せぬが、そういうことなのだ。

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