富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2006-05-23

五月廿三日(火)幾度も驟雨あり。昨日、話が途中になったがバンコクの四面佛の篤信で、何が言いたかったか、と言えば、(睡魔に襲われオチも忘れて書き終えていたが)実は事実上失脚のタクシン首相。篤信(とくしん)でタクシン……面白くないか。芸人も凄いが先月、国王の命により副首相に政権をば譲り日本を含む海外歴訪だのゴルフ三昧のタクシンが今回の四面佛の復興に現われ篤信ぶり誇示。昨日の朝日(国際面)にタイ王国にて総選挙のやり直し選挙も決まらず経済の悪化や南部のイスラム地域での治安悪化(って元凶はタクシンの施政にあるのだが)など問題山積みでタクシンが職務復帰という報道もあったがタクシンはその復帰のまるでプロローグの如く四面佛の復興に姿見せる。ほんと芸人……。タクシンをルックス的には松竹新喜劇に出したいところ。で、四面佛といえばマカオにもあり。場所はフェリー埠頭にも近い新八百伴百貨隣りの国際中心商場。マカオでも「怪しい」「濃い」ことでは有数のビル。大通りに面するのは普通の観光客相手の商店並び楼上にはマンションだが一歩中に入れば空き店舗ばかりの虚無なる空間。地下に「食街」とフードコートありの看板あるが実際には地下のレストラン街は廃虚。G階の横に延びた通路にはちょいと怪しげな按摩だの安食堂、媚薬売る薬局など並ぶ。地下は三階くらいまであるそうで、其処に人が近づかぬのは其処がマカオの賭場で一文無しとなった香港や大陸などからの客がビルの地下にホームレスで住み着き地下の奥深くは食べ物の腐臭から糞尿まで言葉絶する地獄あり、という噂もあり。地下1階の食街の廃虚までは降りてみるがさすがにそれより深くには二の足を踏む。でこのビルの裏手にまわると、そこに四面佛。バンコクの四面佛の別院と縁起にあり。博打場居並ぶマカオゆゑ金運授かるという四面佛はそりゅ御利益あり哉。でこの複合ビル、楼上のマンションに上がり下りする住人も普段着も派手な大陸からの若い芸人夫婦など東欧か露西亜からの踊り子か売春婦か。その迷宮なるビルに四面佛あることの不思議。本日、晩に斎藤さんからいただいた03年のメルローで「長野県塩尻市桔梗ヶ原地区収穫地ワイン」メルシャンが販売、を飲み珍しく羊の骨つき肉、とふんだんな有機野菜各種、サラダや酢で食す。自宅で二人という場合のワインは500mlくらいがちょうどいい、という話をしていたら先日来港の際にいただいた一本。美味。とても料理に合い感激。NHKのNW9見れば日本では子供が殺されたり虐待されたりばかり。やはり憲法教育基本法改正して健全なる世の中作らねば。そういった犯罪が秋田だの、本来とても穏やかなはずの田舎でおこる症状。それもヘンだが子供の虐待で裁判官が虐待した親に「人間としての感情のかけらもない。残虐極まりない」と判決の際にコメント。果たしてそうだろうか。筒井康隆的に。あるいは岸田秀的に。人間だからこそここまで残虐なることが子に出来る。崩れ。秋田での子供殺害では「心のケア」のため、その子の通った小学校に心理カウンセラー派遣され恐怖症や不眠など訴える子供のケアにあたる。小学校校に設えられたカウンセリング室で向かい合う「ケアの必要な子」と心理カウンセラー。心理専門家がやさしく子供に語りかける、の図。これがどう子供に影響するのだろうか。フーコー的に。寧ろ、怖い。東京で四谷に育った我が母は空襲の惨禍に焼けただれた死体の中をがむしゃらに死体を踏みつけたかもしれずに逃げた、と言う。小学校に上がったばかりの齢。残虐極まりないなかで心のケアもカウンセリングもなく生きてきたが精神など病んでおらず。寧ろ地獄をば見た逞しさ。話は違うが、日本では異常気象での日照不足。五月の日照時間が平年の半分とか。久が原のT君は行きつけの、新宿の鮨「いしかは」でも祇園の割烹川上でも、食肆のご亭主が食べ物の旬のメチャクチャ嘆いていらっしゃる、と。心のケアとかカウンセリングとか、何度もシツコイが改憲とか教育基本法改正とか、そんな、敢えていうが「バカバカしい」ことよか、日照りが尋常になることの大切。オゾン層の破壊も気にすることなくお天道様の陽光に当れることの幸せ。それのほうがずっと毀れた人間をば尋常に戻すのだが。……とそんなこと考えてNW9をば見ていたら番組終わり油断していたが火曜日晩でNHK歌謡コンサート。演歌。五木ひろし石川さゆりがデュエットで「居酒屋」なる楽曲をば唄うがこれが「銀恋」と曲の展開が一緒やんけ?と思っていたらデュエットメドレーの最後で「銀恋」がかかり、その通り、と再確認。このまま「居酒屋」に戻ればエンドレス。NHKホールの満員の会場で支持政党とか小泉三世支持の有無であるとか憲法改正などアンケートとってみると面白いか(結果は明らか鴨)。山川豊なる芸人が「アメリカ橋」なる唄で、司会のアナウンサーがカラオケでこの曲を唄うポイントとして作詞の山口洋子だか作曲の平尾昌晃のコメントで「ワルツのテンポに乗ること」だかと紹介。だが楽曲を聴けば、これは敢えて言えばマズルカ。これはワルツぢゃなくて八分の六拍子ぢゃないかしら。演歌など聴いている限界に達しつつあるところでCDでRubinsteinのショパンマズルカ曲集を聴く。テレビモニタでは(音量なし)まだ山川豊が唄っている。それだけでも怖い世界なのに氷川きよし清和大学なる女子剣道の強豪校の道場から「一剣」なる曲を唄い始める。清和大学、教育理念として「教育基本法並びに学校教育法の定めるところに従い、君津学園の一貫した教育体系の最高教育機関として、学園の教育理念とする「真心教育」に基づき……」と言っているが教育基本法の「理念」に従い、でないところがミソかも、で時代にとにかく融合かしら。ルービンシュタインマズルカをちょっと止めて、氷川きよしの唄を怖いもの見たさ、で聴いてみる。いつまでもあんな歌唱ぢゃ拙い。村田英雄先生とか存命であったら一喝でしょう。だが誰もそれを指摘できるのが今の世の中。ところで岩波書店『世界』六月号。樋口陽一先生などの憲法特集もいいが品川正治氏(日本火災の元会長、経済同友会副代表幹事、現在は同終身幹事)が河野洋平君相手に語る「私たちはどのような社会・国家をめざすべきか」は必見。本屋の立ち読みでもいいから(といっても『世界』置いている本屋すら稀だが)財界にこういう人がいたのだ、と正衿して読む。経済同友会が小泉三世の靖国参拝に苦言しようと小泉三世は理解する知力もないが財界にもこういう、岡崎嘉平太などの流れ組む人がいた(まだ稀にいる)こと。小泉三世も奥田豊太だの、田中直毅センセイなどとばかりニューオータニのクレセントなどで食事&談合しておらずに理性ある先達のせめて教え授かるだけの智慧があればいいのだが……。
▼赤坂のキャピタル東京ホテルに村儀理容室あり。新宿のヒルトンにも店あり。このキャピタル東急の村儀がなぜ有名かといえば小泉三世行きつけの理髪店ゆゑ。昭和47年に福田首相の秘書の頃からの行きつけというから年季。それにしてもあの獅子頭に、例えば一昨日も朝日の首相動静によれば晩の20:14分に村儀に入り首相官邸へ戻ったのは22:38で二時間の理髪。個室にて実は隣の個室の客と壁が開いて密会できるとか楼上に上がる秘密のエレベーターがあるとか、実はたんに電髪で時間がかかるだけとか、この村儀での時間が小泉三世にとって唯一の安息の時間とか噂耐えぬが、いずれにせよキャピタル東急ホテルが、お若い方はご存知なかろうが此処が旧・東京ヒルトンホテル。昭和の30年代には政治家子息と芸能人の結婚式は「ここ」と決まっていたが当時は虎ノ門の米国大使館の御用達でもあり。いろいろ「仕組み」ありのホテル。ちなみに新宿に東京ヒルトン開業しているが其処にも村儀理容室あり。これでワシントンのウィラードホテルにも村儀理容室あるとかなり可笑しいのだが。

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