富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十一月十九日(金)快晴。多忙極まりなし。連日電気系統だの線路だの故障にて列車不通となるMTRの電光掲示板(写真)。直島のベネッセアートサイトにそのまま展示したき電光の美しさ。帰宅してパイプ煙草に火をつけ書斎の椅子に腰を降ろし暫し憩ふ。究極のドライマティーニをば先日ふと思いつき今晩試し飲み。グラスにジンを注ぎ極少量のベルモットを加え氷も置かず氷で撹拌もせずただそのまま常温で飲む。それだけ。美味。このサイトの内容量が100MB越える。日剰の文章量などメモリではタカが知れているが過去の雑誌掲載記事がjpgファイルであることや画像の多さ。このサイト維持のため毎月HK$200ほど費やしていると思ふと年間費用ではけっこうバカにならぬわけで一瞬最近流行のBlog化などアタマ過るが矢張り内容をばBlog的にきちんと整理するよか読むこと強いるこの日記形態こそこの日剰の基本かと思ふ。
朝日新聞の「三者三論」にて自衛隊イラク派遣延長につき自民党古賀誠君、早大教授で国際政治史の田中孝彦君及び元防衛施設庁長官宝珠山某が持論述べる。古賀君は日本遺族会会長といふ肩書きで余は勝手に「その筋」と誤解あり。イラク特措法自衛隊派遣承認の衆議院採決では退席。政府が「イラク国民に喜んでもらっている」などとしか説明できぬ派遣。古賀君は大東亜戦争の原因が政治の貧困と国政に携る者の個々の責任が明らかにされぬ中で引き起こされたものとし「いつか来た道」には極めて臆病であるべきでひとつ風穴通るとずるずる押し流され既成事実積み上げた結果大きな犠牲につながる非常に怖いことと述べる。そして古賀君の言う最も大切なことは「平和憲法を持っている限り日本の安全保障は日本のアイデンティティの中で築くべきもの」であり「なし崩し的に平和を脅かされるようなこと」に強く反対する。また田中教授も日本政府の自衛隊イラク派遣が第一義的な目的はイラク人への人道援助でなく従米政策であり実際には支援効果が殆どなく自衛隊イラク人に守られた中で活動していることを指摘。米国のイラクでの行動を見ていれば帝国支配による秩序の構築が不可能といふ現実が判り一方的支配の無理と経済を中心とした相互依存があることがわかる。また市民による脱国家的な連帯により米国主導の連合を瓦解させる力があり米国がその世界の流れに帝国として逆らっている図式。古賀、田中両氏の指摘はなるほどと頷けるがそれぢゃ何をどうすればいいのかといへば古賀君は自衛隊の引き揚げのタイミングがいつなのか「首相にお伝えする機会があれば伝えていきたい」で論を結び、田中教授も「米国を帝国視する幻想に浸りつつ軍事的なプレゼンスを重視した政策の展開」が妥当だとは思えない、とするが、それぢゃ日本が具体的にどのようなスタンスが採れるのか、については述べておらず。ここに限界があり、それが小泉三世内閣を長期安定政権とする要因なのであろう。