富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月九日(土)N氏に誘われ日本人のドラゴンボートチームのメンバー五名のトレイルの練習に加わらせていただき午前九時に北譚涌を出で余はS氏、M嬢と三人で早足にて萬宜水庫からいつものコースで西湾を経て北譚凹まで25kmを五時間で歩く。途中に海岸より海抜三百米の小高い山を越え峠も二つの道程だと思えばこの時速五時間は我ながら上出来。写真はいつもの海ながら今日はいつもにもまして海も碧し。日本は首都圏に本日勢力強い台風直撃とか。香港はとうとう一度も台風来たらぬまま秋となる。午後二時に北譚涌より乗合バスで西貢。ミニバスで眠る間に彩虹。尖沙咀でジムに一浴しZ嬢と落ち合い四時から尖沙咀Gatewayの映画館にてマイケル=ムーア監督の『華氏9/11』の先行上映(試写会)あり香港では珍しく上映遅れたこのカンヌ映画祭のLa Palme d'or作品を観る。ブッシュ二世の呆者ぶり更めて笑うが911の当日に世界貿易センタービルが国家テロにより襲撃受けたことを告げられたブッシュが「七分だかに渡り」訪問先の小学校で側近から隔たったまま児童の前でぼんやりと絵本に目を落とす姿など映像の面白さ。映画の冒頭に使われる対イラク開戦をば告げるテレビ中継での中継開始前のブッシュら米国高官の「愉快そうな」表情も印象的。米国政府の調査委がイラク攻撃の根拠となった大量破壊兵器の存在をば否定した今となってみると実に偉大なる茶番の数々。だが「映画」作品としては米国覇権の世界で米国大統領の馬鹿さ加減をば米国の映画監督が撮ったといふ点での面白さこそあれ、これがカンヌのLa Palme d'orかと思うと天安門事件の89年のノーベル平和賞ダライラマ十四世猊下選ばれし時のことなど思い出し作品ぢたいよりも背景の意図優先かと思いつつ「賞」といふものは全てその政治的意図により実際の人や作品はそれに見合うものが実に恣意的に選ばれるのが当然の仕組みなのであろう。映画終わって山林道の越南料理・和平館に食す。ビールは33麦酒、牛肉入りの生春巻き、アスパガラス油炒、ムール貝オーブン焼に蝦檬と生牛肉麺

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