富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

熱血公民少年六四上學

fookpaktsuen2015-06-04

農暦四月十八日。快晴。朝歩いてゐると「熱血公民」といふバッグ肩にした小学生と遭遇。今日は六四。朝の一服は昨日入手の龍井茶。茶を淹れてからの芳香と葉が湯の中を落ちてゆく態だけでもうっとり。晩にカレーライスとジャックダニエルソーダ割り。NHKのNW9で冒頭は中国の船舶事故に続いて大学生のブラックバイトなんてニュースではキャスター某「大学生がアルバイトで置かれた厳しい現実について我々も確かな理解が必要です」なんて意味もなく力説してみせるが3つ目が今日の衆院憲法審議会のネタになつたら映像で伝へるだけでコメント一切なし。さすが。最後のニュースはエゾフクロウの赤ちゃんの巣立ちで「早く成長して自由に飛べるようになるといいですね」なんてコメントしてゐたが、それこそ「早く成長して自由に発言できるようになるといいですね」と言ひ返してやりたいよ、全く。
▼六四。ヴィクトリア公園での支聯会による追悼集会がメジャーだが「本土派」は尖沙咀で六四集会。本土派とは香港独立等「香港≠中共」の信奉者で、この社中からすると中共の内政に関はる事に距離を置くべき、で六四もあくまで香港で自由守り抜くための運動となる。昨日の信報の記事で香港大学の民研の世論調査で香港市民の支聯会支持は前年に比べ5.5ポイント下がり44.6%で過去最低。支持しないの25.6%も最高。六四から23年で支聯会解散すべきか?に反対は38.3%、解散は25.6%で4年前の差が38.3ポイントあつたのに比べ12.7ポイント。それでも「平反六四」(これは一言で和訳が難しいが)つまり六四が「誤った民衆運動、反国家動乱」という中共の認識を否定し再評価させることに賛成は52.5%(反対23.6%)と依然この主張には同意あり。要するに支聯会等の団体抗議が反中運動になることへの懸念か。このへんが実に微妙であつて香港のジレンマ。
▼今日の朝日新聞に台湾の民進党シンパの実業家・辜寛敏翁のインタビューあり。昭和元年生まれで矍鑠としたもの。日本の良さも挙げ晋三の安保政策も支持表明だが靖国A級戦犯合祀は反対、侵略は侵略、当時の中国が日本の脅威だつたから戦争起こつたわけぢゃない、戦争責任の罪は認め未来に向かふべき、と。日本でいへば後藤田先生が民主党にゐるやうなもの。

つまらない人生で最近少し愉快なことは国会での安保法制で晋三の「早く質問しろ」と言つた失言やシドロモドロなり。

事態の個別具体的な状況に即して主に当事者の意思、能力、事態の発生場所、また事態の規模、態様、推移をはじめ当該事態に対処する日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行う米軍その他の外国の軍隊等が行っている活動の内容等の要素を総合的に考慮して我が国に戦渦が及ぶ可能性、国民に及ぶ被害等の影響の重要性等から客観的、合理的に判断することになる。

なんて発言ほんとなんだか「全然、わかんなーい!」である。そのくらゐが愉快であつたアタシが今日は晴天の霹靂的に驚愕したのが衆院憲法審議会。ニュースで参考人質疑に招かれた有識者で長谷部康男先生の名前が上がり「あ、民主党からか」と思ったら次が小林節先生。あれ、小林先生やっぱり自民党が推したの?と思つたら長谷部先生が自民で節先生が民主。で結果ご存知の通り維新推薦の笹田栄司先生も含め三人が三人とも集団的自衛権含む安保関連法案を「違憲」と発言。自民党が推した参考人が党の意向に反して違憲といふ椿事。それにしても長谷部先生なんだから本来のテーマが「立憲主義」だとしても、どんな立場でコメントするか、は自民党もわかりさうなものだが朝日新聞読んでないから杉田先生との政治放談での長谷部コメントも知らないのかしら。自民党にしてみたら惨事。長谷部先生が新安保関連法案は憲法9条に抵触する他国との武力行使の一体化生ずる怖れは極めて高くなる」と指摘すれば節先生がそれを受け「一体化そのもの。長谷部先生が銀行強盗して僕が車で送迎すれば一緒に強盗したことになる」と見事。さらに節先生曰く「後方支援といふのは日本の特殊概念」で「要するに戦場で後ろから参戦する、前からはしないといふだけの話、露骨な戦争参加だ」と平尾昌晃&畑中葉子真っ青の力説。審査会の筆頭幹事は自民党の船田元先生、国体委員長何某らのそも/\何故この時期に憲法審査会開いたのか、人選は、と苦言に平謝り。官房長官菅某も「法的安定性や論理的整合性は確保されている。全く違憲との指摘はあたらない」と火消しに躍起だが相手は著名な憲法学者なのに「全く違憲でないという著名な憲法学者もたくさんいる」*1とまで放言。絶対的安定多数で敵なしのはずの自民党が一人コントやつてボケて瓦解モードとは。戦後、戦後日本を否定してみせる自民党も結局のところ戦後のぬるま湯の中で改憲どころか安保法制整備すら出来ぬほど脆弱なのか。

*1:築地H君曰く百地章西修で2人、八木秀次は「憲法学者」かどうか微妙だから、あわせて「2,3人」で「著名」な人も「いっぱいいない」のは確実。