富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

いち早く行動に移す雅

fookpaktsuen2014-01-06

農暦十二月初六。昨日が築地の初競りで毎年話題になる大間のマグロ(って養殖ぢゃあるまいし、まぜ大間、大間と喜ぶのかよくわからぬが)が昨年の1.5億円から暴落?の736万円で「すしざんまい」が落札。キロあたりの値段は70万円から4万円、それでも普段ならキロ2万円に届かぬのだからご祝儀相場。香港のリッキーはんの板前寿司チェーンも競りに関はらず、の結果。画像で競り落とされたマグロの胴体に日章旗旭日旗)のシールで「初荷」と書かれてゐて「これにまた香港=中国にマグロ渡さぬ日本の国威高揚か!」なんて反発にでもなるのでは?、誰が?、競り落としてからのシール張りか?と一瞬思つたがよく/\見ると競りの時ににも、もう初荷シール貼られてゐるやうで、微妙に旭日旗とは意匠異なり築地の水産会社などの幟にも旭日旗に似た祝ひ旗あり。旭日旗ぢたいもと/\は軍隊とは関係ないハレの旗で大漁旗にも同じやうな図案あり。よく考へれば違ひ理解できるが遠目には誰が見ても日章旗=日本軍国主義の象徴で、卍の意匠がナチスの卐印に近いから、と誤解され問題視されるわけで……。さういへば築地といへば朝日新聞の社旗もこれに近い(笑……もと/\築地ではないが)。その朝日の今日の朝刊に一面大で「伊勢物語」といふ特集記事あり、さういへば伊勢物語といへば畏友・久が原T君の早稲田で学部から院にかけての専門は平安文学で伊勢物語だつた(T君の専門は「狭衣物語」でござんした、失礼)……とふと思ひながら読んでゐたら記事のなかで畏友・村上湛君が伊勢物語の全体貫くテーマとして「いち早く行動に移す雅」挙げてゐた。御意。「昔男(業平)は美しい姉妹に歌を贈ろうと、晴れ着の裾を思い切りよく破る。感情に身を任せる美意識には、連れて逃げた女が鬼に食われる「芥川」のように、背後に死が潜む」と記事。「雅」といふと、どこかゆつくりと時間の経つのも忘れるやうなお淑やかさ想像するが、それはアタシたちの勝手な妄想で、じつは平安時代には平安時代のスピードが、何か思ひついたときの感情の現へのイメージ化とはは物凄く早かつたのではないかしら?なんて思ふとぞく/\。この記事に黒鉄ヒロシさんの、それは老哲学者のやうな形相なのだが業平の
つひに行く道とはかねて聞きしかど昨日今日とは思はざりしを
を挙げ、これは

ダンディズムですよ。死を突き放してるでしょ。含羞っていうか「なんちゃって」が入って、しかつめらしくない。人とは何か、どう生きて死ぬかが、軽みで書かれてる。肉欲より、逢瀬の前段の未練に重点を置いている。究極の自己犠牲やおもてなしもある。興味のあるものが見つからないお年寄りが、読むといいんじゃないでしょうか。

と、最後の年寄りへのお勧めは余計だが(笑)指摘の点は言へてゐる。