富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-03-31

農暦二月廿日。復活祭連休三日目の日曜日。相変はらず天気愚図つく。晝にZ嬢と尖東。幸福中心地下の核シェルター一平安に昼餉と潜ると予定調和的にM氏と遭遇で「このあと映画ね」。一平安で普通の醤油ラーメンがなんだか香港では貴重。当世、何処も彼処も作務衣系のむさ苦しい濃厚ラーメンばかり。科学館で池谷薫監督のドキュメンタリー『先祖になる』(こちら)見る。まるで「ここは岩波ホールか?」といふ感じの客層で科学館ほぼ満席。日本人知己も少なからず。311の映像数多く見たが、この主人公、陸前高田で農林業営む佐藤直志翁の、まぁ頑なお人柄。老哲学者、佛様のやうな方だが奥さんにとつては、とてもつき合つてゐられない、といふのも何となく納得。同じ頑固でも怒り易かつたり感情が瞬間湯沸かし器になるよか、この直志翁のやうにあまりに温和な如来様のやうで実は筋一本通り何も妥協しない、といふのが本当の強かさか。学ぶところ多し。小雨のなかハーバー漫ろ歩き香港芸術館でアンディ=ウォーホール展。今日までだつたが明日までに延びた由。この現代芸術の巨匠の作品眺めながら、この人のアートの素材となつた数々の有名人のポートレート写真の本当の撮影者であるとか、キャンベルスープのオリジナルの意匠考案したデザイナーが誰なのか、実は全く知らないことに気づく。スターフェリーで香港島に渡りバスで北角。渣華道街市の根菜屋の飼ひ猫妊娠。食材購ひ帰宅。明日がレスリー張國榮の10年目の命日で晩にケーブルテレビで彼の生前のインタビュー番組、カットなしでの放映眺める。個人的には、この人にどれほどの魅力があるのか全くわからない私。駱駝牌の粥やスープ入れて保温するポット、自宅ではあまり用途もない、と思つてゐたが酒担保でお燗するときに熱湯入れておくと3、4回ならお燗出来ることZ嬢の発案。こりゃ重宝。
▼昨晩見た『葉問』の映画に、主人公葉問師匠の長男、葉準氏が確か90歳近いはずだが映画のなかで、樓上に詠春拳館のある士多の老亭主役で「師傳、電話だよ」と出演してゐたが、乗ったタクシーに偶然、詠春の生徒募集の広告あり。
毎日新聞はふだんあまり読む機会ないが社論は毎朝読のなかでは一番真っ当と思つてゐるのだが歌舞伎について社説を書く必要はないでせう。社説「5代目歌舞伎座 芸の力で社会に元気を」(こちら)。「いかにもありがちの模範解答的社説」と劇評M君が「藝術については一般論ほど無意味に近くなる、と言っては言い過ぎか……」と。御意。
朝日新聞で政治介入記者曽我豪君が晋三の言動を取り上げ、晋三の演説を聞いてゐると「自民党に」だつたのが「我々」になり、今では「私に」と変化してゐる、と。晋三に「政権内で複数の意見を競わせておいて最良最強の時期に自分が決めるのだという「最終判定者」として立ち現れる<私>」が見える、といふ。晋三に何が憑いてゐるのかしら、信介の霊か。
東京新聞「本音のコラム」武田茂夫教授(法政大)書き抜き。
銀行・保険・年金などが保有する国債や約770兆円で、国の借金の約7割に当たる。110兆円ほど保有する日銀はさらに国債を買い進めると宣言する。官民総がかりで国家の信用を支え、民間銀行は危うい国家への信頼で自分の信用も担保する。土地本位制ならぬ国債本位制だ。長期金利が上がり始めれば、国債利払いの急騰、財政破綻金融危機が待ち構えている。破局を避けるには国債の日銀引き受けか、消費税の大増税しか手がない。
原発断層調査で資料漏洩の元規制庁審議官が山形大教授に。
▼エジプトで市民の大統領風刺に侮辱禁止の憲法乱用……ジャスミン革命の結果がこれか、ドクトルジバコ。
▼震災2年「被災地に市場意識を」と糸井重里は「僕は資本主義者として、ものすごくがめつく、心の利益をとりにいきたい」と。
▼「平和というのはただのんびりした状態ではなく、戦争の原因を排除しつづけて得られる微妙な安定である」と池澤夏樹