富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2010-07-28

七月廿八日(水)朝から雨模様。晝を銅鑼湾福助に食し近くで一つ打合せしてゐたら雨強くなりMorrison Hillの鄧肇堅医院まで歩き出すと土砂降りでアタシもびじょ/\。同医院内の公立診療所で高血圧の一ヶ月ぶりの診察といふか問診。香港で公立病院といふと待ち時間が恐ろしく長いと皆さん避けたがるが予約診療はほヾ時間通り。自分で血圧測り待つこと10分。その間に大雨は赤色警報が黒色警報に変はつたと職員の話。台風だと診療打ち切りとなるが大雨では医療機関はそのまゝ何事もなく診療続く。一ヶ月服した薬で血圧も125/85くらいで安定で動悸も治まり今回は二ヶ月分処方される。でも診療費+薬代でHK$45(500円)なのだ。日本でその薬をネットの並行輸入で見ると価格は10倍近い。晩はZ嬢とミッドレベルに行くはずが大雨で断念。病院を出るとちょうどタクシー乗りつけた患者をり、そのタクシー拾つて帰宅。ドライマティーニ二杯。雑煮。新界西貢では二時間で189mm、市街地でも100mmは降つただらう。
▼台湾では壹週刊が先週号で阿扁の息子(陳致中)の売春疑惑を報道。高雄市議選に出馬予定の本人は事実否定するが壹週刊は今週号でも電話盗聴での後追ひ報道(写真)。
▼陶傑氏が「撲滅粵語」と書かれてゐるのが面白い(昨日の蘋果)。広東語を封じる前に1950年代の毛澤東にとる土地解放で広東省は地元の「粤共」分子は「上有政策、下有対策」などと言ふばかりで遅々と進まず業を煮やした毛は陶鑄と趙紫陽を広州に遣り広東省制圧したくらゐ広東は面倒。で陶傑さん曰く、広東語禁止とするなら先ず広東料理を禁じるべき、と。広府の調理法には炆、灼、烚、煲と全て広東字が当てられてをり、これを普通話に置き換えることは不可能。広東料理供する食肆がみな麥当労が京川淮揚菜になれば良かろう、と。広州で粤語が禁じられゝば珠江デルタ一体化で次は高速鉄道で結ばれる香港。香港政府は普通語普及を「起錨」したいところだが「起錨」が粤語。コラムが右隣の左丁山氏も日々、粵語用ゐて書かれてゐるがこの中環的精英(左氏のこと)も筆を折らざるを得ないのかしら、と陶傑氏。
▼雑誌『世界』の七月号で豊永郁子といふ早稲田の政治学の先生が小沢一郎論と構へ小沢はは新自由主義者でも新保守主義者でもなく「前衛主義者」なのだ、といふ読み解きを披露。民主集中制のもとで愚昧な大衆を啓蒙し指導する使命を負つた前衛、と考へると過去の小沢の言動はブレなく一貫してゐるのだ、と。また朝日新聞でも鳩山を「首相職の私物化許せない」と歯に衣を着せず叩いてみせる。痛快であつたが『世界』八月号でその小沢一郎論の(下)は政治家が権力を所望するのは不可避ながら権力奪取が最終的な目的化してしまふことを批難はその通りだと思ふが小沢論としゝウェーバーからの政治学の講釈になつてしまひ残念。学術論文的にはそれで良いのだが小沢が病身の体調の悪さの中での懸命ぶりをこの人はそれが痛々しく「悲しくなってくる」とまでそこだけ感情的にコメントがあつたり。小沢フリークなのかしら?とすら思つてしまふ。この『世界』八月号は菅政権特集で伊東光晴「心に確たる対抗軸を」、寺島実郎の日米同盟と普天間問題への言及、特集の他に西垣通先生の「グーグルは創造者か、破壊者か」などかなり読み応へ十分。

世界 2010年 08月号 [雑誌]

世界 2010年 08月号 [雑誌]