甲辰年十月十三日。9.7/19.9度。晴。
雑誌『世界』(岩波書店)12月号(特集:視えない中国)で吉岡桂子さん(朝日新聞)「児童殺害と日中関係」一読。日本が中国に対して巨額の円借款など経済援助続けた背景には中国の経済成長が日本にとつてメリットがあつたから。そして日本企業にとつて巨大な市場がそこにあつた。中国でバブル経済崩壊となれば人々の不満高まり暴動が広がり中国共産党の一党独裁体制が揺らぐのではないか、と思はれてゐたが疫禍での都市封鎖をきっかけに习近平政権下での徹底した管理社会に。人々の不満は社会の内部へと潜む。富裕層は海外に逃れるなど術もあるが経済力もなく、社会的立場もなく政治に訴へることもできない人々の不満がどこに向かふのか。彼らの一部が自分より更に弱い立場にある子どもや病人を狙つた暴力事件「献忠*1」は中国社会の病理そのもの。「反日」は人々のフラストレーションのガス抜きのやうにも作用してゐたが直接の原因もなく日本人狙ふ「仇日」としての暴力行為。日中関係の大きな分岐点。中国での日本企業のビジネスは縮小傾向に。中国経済の失速もあるが自動車産業など中国企業が力をつけてもはや日本企業が用意に稼げる市場ではない。日本の、大きく「強くなつた隣国に対する「中国離れ」。中国の「病理」は隣国(中国)の人権や民主主義のありやうを見過ごしてきた日本社会自身の病理も映してゐる(その根源には戦争中の過ちを反駁されることへの恐れもあつた)。中国の何かしらの変容を、変はる中国社会の実相を日本は見極められてゐるのだらうか。……とても興味深い論考であつたので恐らくこのテキストを読めてゐないであらう在中国の知人にpdfで送付。
Another attack on a Japanese local points to a big problem in China - The Economist_Sep 28th 2024
その吉岡さんの論考で引用されてゐた記事がこちら。日本の「中国離れ」について。
出先のビルの狭いベランダの花壇にアゲラタム(紫霍香薊)が群生してゐた。酷暑もびくともせぬのは中南米原産ゆゑ。夏前に細い苗が何本か植ゑられてゐたもの。観賞用に栽培されたさうだが繁殖力の旺盛さ。