未明に目覚めてベッドのなかでスマホを開けたら紐育時報のサイトが紐育マラソンの特集記事を載せてゐた。アタシが参加して、それを機会に「もうマラソンは引退」としたのが2017年だつた。このコースマップを眺めるとスタート地点であるスタテン島へのフェリー、ブルックリンの明るさ、ウィリアムスバーグのユダヤ人街の世界の違ふ静かさ、クイーンズ地区からQueensboro Bridgeの鉄量感、マンハッタンに渡り一番街のアイルランド系の連中からのビールやワインのお振舞ひ、ブロンクスに入りエスニック感が強まりハーレムでのジャズの路上演奏……まるで去年のくらゐのことのやうにドラマチックな光景が思ひだされた。それでも今でも一番印象的なのはブルックリンでジャズベーシストT君がテーブルを確保してくれたピータールーガーでのステーキの美味しかつたこと。
甲辰年十月初四。摂氏8.0/22.4度。晴。家人と瓜連の映画館あまや座で台湾映画『本日公休』を見る。傅天余監督。映画『本日公休』公式サイト
久々に見た台湾映画。台中の古くからある理容店が舞台。この理容店の女将を主人公に、昔からの馴染みの客と家族と、そこでこんな物語が生まれるのはさすが台湾映画。夫を亡くして一人で理髪店を営む母親、実業につかぬ長男、台北でスタイリストする長女、台中のヘアサロンで働く次女、その元夫(傅孟柏)。台南郊外で農業営む元IT関連の青年がどこかで見た顔と思つたら青春映画でデビューの陳柏霖であった。この映画の作れる優しさが、まさに今の台湾そのものなのだらう。母親役の陸小芬は四半世紀ぶりの銀幕復帰。映画が終はつてお昼とき。その/\常陸秋そばの季節で瓜連の大地から東に下り久慈川を渡れば美味しい蕎麦屋あり。藤田十文字そばの「佐竹」は超人気店で連休中は駐車場にも入れまい。瓜連から水府に戻るにはほんの少し遠くなるが久米十文字の「しま祢」といふ蕎麦やも前から気になつてゐた。本日はしま祢へ。温かいけんちんそば。太い蕎麦で美味しくいたゞく。帰りがけに買つた蒟蒻を夜、刺身とおでんの具にしたら、これもまた美味しいものであつた。
酒のやまや(千波店)に酒の調達に。キクマサの1.8Lパック2本、さつま小鶴1.8Lパック、ハイボール用のブラックニッカ3本、ウオツカ(スミノフ)、会津若松の榮川(四合瓶)、ワイン4本……これが来客もない一般家庭の酒の消費とは誰も思はないだらう。我ながら本当によく酒を飲むと感心するばかり。